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【座間9人遺体】メディアが被害者の顔写真掲載、違法行為に該当も

文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士
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 犯罪報道というものが、上記のファクターで構成されている以上、『報道の自由』を特別に制限する立法事実(『こういう法律が必要である』という世論が高まり、国会に議案として提出される程度にまで至った要求)がない以上、不用意に制限することは、報道の自由を侵害することになりかねません。

 現時点では、被害者の氏名を報道することについて賛否両論があるレベルなので、『被害者の氏名を報道してはならない』という立法事実までは存在しないわけです」(山岸氏)

卒業アルバム写真の使用は損害賠償責任の対象になる可能性

 では、写真使用については、問題はないのだろうか。

「犯罪報道が行われる際、加害者については逮捕時の映像だけでなく、卒業アルバムに掲載されている写真やSNSに上げている個人的な写真が使われることがあります。さらには、被害者についても卒業アルバムや個人的な写真が出回ることも多くあります。

 加害者に限らず、被害者の卒業アルバムがどういう経路でマスコミに渡るのか、とても理解できないところですが、ここでは『肖像権』というものを考えなければなりません。

 肖像権とは、無断で写真や映像を撮られたり、写真や映像を無断で公表されたり利用されたりしないという権利であり、自分の生き方やあり方は自分で決定すべきであるとする人格権の一種として考えることができます。

 要するに、芸能人などではない、一般人の顔や体が写った写真などは、インターネットに掲載したり、雑誌に投稿したりするなど、みんなに見てもらうことを前提として公表したものではない限り、限られた範囲の人たちで限られた範囲で楽しむもの(いわばクローズ型の写真)であることから、その範囲を超えて勝手に利用され、公表されることは望まないという考えが認められるわけです。

 また、公表することを前提とした写真であっても、たとえば『SNS上の自己PR』という限られた目的でネット上に掲載した顔写真を、他人が勝手に『平均的な女子大生の顔』などとして複写利用することは、本人の目的とした範囲を超えていることが明らかなので、公表を望まないという考えが認められます。

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