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東急田園都市線、「鉄板のセレブ路線」に異変? 不動産価値下落エリアは?

文=横山渉/ジャーナリスト
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 さらに、中川氏は「家を買う人はじっくりと地図を見るべき」とアドバイスする。

「駅によって、隣の路線から近いところと、かなり離れているところがあります。たとえば、同じ東急線でも、池上線・目黒線・大井町線などは線路が込み合っているので、10分歩けば他の路線の駅に着きます。こういうエリアは価値が落ちにくい。しかし、田園都市線は他路線から離れており、最寄駅までバスを使うエリアが結構ある。神奈川県に入った郊外では、極端な話、一山超えないと次の街に着かないみたいなところもあります」

カギは“集積度”

 今後の不動産価値を考えるうえで重要なポイントについて、中川氏は“集積度”を挙げる。

「人口が減るということは、ぎゅっとまとまって住んでいたほうが得ということ。同じように郊外に向かう路線でも、田園都市線は駅前に商業施設をつくられる傾向がありますが、東武伊勢崎線は駅から離れた幹線道路沿いなどに商業施設をつくられるため、結果として駅前は集積度が低くなり、衰退していくようにみえます。田園都市線でも、たまプラーザみたいに駅前を集中して開発し、常にリニューアルしているところはいい。駅周辺の集積があるかどうかが大切。急行停車駅かどうかでも違ってきます」

 人間がまとまって住み、駅周辺に商業施設が固まるというのは、人口密度が高くなることも同時に意味するが、高級住宅地の代名詞ともいえる世田谷区では昔から「駅から離れた場所のほうが格上」と見なされる風潮があり、駅から離れたマンションが分譲されやすい特殊事情があった。要するに、ゴミゴミした駅近よりも、郊外の静かな住宅地ということだろう。

 しかし、そんな世田谷もどんどん注目度が下がっているといわれている。現役時代に移り住んだ人たちが高齢化して、アクセスに不便を感じているという話もある。また、古き良き住宅地の面影を残そうとするあまり、「再開発」や「新しい街づくり」が世田谷には少ないともいわれる。

 例えば、世田谷区は待機児童数で全国ワーストであり、区は保育園の整備に積極的だが、土地所有者が了承しても周辺住民が反対運動を起こしている。昨年までに根強い反対運動が5カ所であった。保坂展人区長は自ら住民説明会に出席し「街は新しい世代の新陳代謝によって活性化していく」と説明しているが、なかなか解決しない地域もある。もしもエゴイズムに凝り固まった人が大挙して住んでいる区があったとすれば、そのような区の人気が落ち、不動産価値も将来的に下落するのは無理もないことだ。
(文=横山渉/ジャーナリスト)

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