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中西貴之「化学に恋するアピシウス」

ワインの「美味しさ」の正体を解明…約1000種類の化学物質

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「Nishihama / PIXTA」より
 赤ワインと白ワイン、みなさんはどちらがお好きでしょうか。どちらも同じブドウからつくることができますが、ブドウを破砕して2週間程度発酵させた後に皮と種を除去してつくるのが赤ワイン、搾って皮と種を除去した後に発酵させてつくるのが白ワインです。


 スッキリした味の白ワインに対して、赤ワインは「フルボディ」という呼び方で表現されるようなしっかりとした独特の渋みと苦みを持ち、それが愛される理由でもあります。

赤ワインの「苦み」の正体…糖尿病に効く?


 赤ワインには1000種類程度の化学物質が含まれていて、その全貌はまだ解明されていません。これらの化学物質は、ワインの量に対してたったの1%程度しか含まれていませんが、一つひとつの化学物質が赤ワインの色、味、香りに重要な役目を持っています。

 赤ワインの特徴的な苦み成分は「フラバン-3-オール」という物質群で、よく耳にするカテキンもこの仲間です。緑茶や烏龍茶、チョコレートの苦みもこの物質によるもので、抗酸化作用があるため健康に良いといわれています。

 カテキン類の健康への作用については、古くから多くの研究結果が報告されていて、動物実験では脳卒中、心不全、がん、糖尿病、認知症にも効果があるとされています。

 一方で、最近発表されたイギリス・クイーンズ大学による6万人以上の飲酒者を対象にした大規模調査によると、「ポリフェノールを多く含むお酒を飲んだ人と、そうでない人との間に糖尿病リスクの違いはない」と報告されており、動物実験で見られた効果が人間で、しかも日常的に許容される飲酒量で表れるかどうかについては、さらなる研究が必要です。

フラバン-3-オールの構造式
 最高で100個ものフラバン-3-オールが鎖のように結合すると、タンニンと呼ばれる苦み成分になります。タンニンは植物全般に含まれ、ワイン樽に使われる木の板にも含まれており、ワインの熟成と共に醸し出されてくる渋い味わいには、樽に含まれるタンニンの溶け出し具合が大きく影響することもわかっています。

 ブドウにもともと含まれるタンニンと、樽から溶け出すタンニンが熟成中にさらに複雑な化学反応を起こし、赤ワインの色と香りをつくり出します。

なぜ同じ農場のブドウでもワインの味が違う?


 ワインの成分が化学的に解明され始めたのは、19世紀の化学者ルイ・パスツールによる研究が端緒だといわれていますが、それより2000年も前に古代ローマの博物学者プリニウスが「同じブドウの木でも、土地が違えば価値が違ってくる」と述べたのは的を射ていて、どのような土地、日照、降水量で育ったかによって、でき上がるワインはまったく異なるものになります。

 このようなブドウに影響を与える育成地の総合的な環境を指して「テロワール」といいます。同じ農場で収穫され、同じ醸造所でつくられたワインでも、わずかなテロワールの違い、たとえば斜面の違いなどによって風味に変化が生じることから、最近では「テロワールはワインの性質を決定する重要な要素」として認識されており、テロワールに注目した少量多品種醸造ワインも登場しています。

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