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安倍首相称賛本や愛国本の正体…「売れさせる」出版取次システム

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出版労連のパンフレット『現場からみた これが取次だ 出版流通と労働条件の改善をめざして』

 以前ほどではないが、書店に安倍晋三首相を称える本、韓国や中国の危機を煽る本などが書店に並び続けている。愛国本や嫌韓本は書店の一角を占め、それ自体が特定の政治的主張を訴えるような印象も与えている。平たくいえば、書店の店頭を使って政治的主張をするデモをしているかのようだ。

 普通の感覚を持っている人ならば、「あれ、なぜこんな恐怖心を煽るような本がこんなにも並んでいるのだろう?」と思うかもしれない。売れるから、というのは一つの答えだろう。しかし、売れるから並ぶ、というのは当たり前のことであり、なぜ売れるようにしているのか、という視点から考えなくてはならない。

 鍵となるのは、取次を中心とする出版流通システムだ。

取次の仕組みと愛国・嫌韓本


 出版社が本をつくり、書店に販売するまでに、取次という本の問屋が介在する。取次は、本を出版社から全国の書店に送り込むと同時に、出版社に書籍の代金を渡すという役割を持っている。
 
 出版労連がつくった『現場からみた これが取次だ 出版流通と労働条件の改善をめざして』というパンフレットがあり、取次の役割がていねいに記されている。これによると、取引出版社は発売予定の出版物の企画書や見本を持ち「仕入れ窓口」を訪れ、そこで配本部数や販売条件を交渉するという。その際に取次の仕入れ担当者は、本の内容や著者、定価、類書実績、そして出版社の過去の実績などを判断材料に仕入れ部数を決定する。その後、配本担当者は、仕入れた商品の特性や配本する書店の売上規模、商品構成、客層や過去の販売実績、書店の事前注文をもとに配本数を決定する。

 つまり、どんな本をどのように売るかは、取次が決めるようなものだ。その取次の仕組みにもっとも適合したのが、同工異曲の愛国・嫌韓・憎中本である。これまで、こういった本はある程度売れ続けてきた。そういった実績がある。著者も、同じような著者ばかりが出している。出版社についてもそうだ。

 これらの実績をもとに、右派系の本が書店に並び続けることになっている。取次の仕組みをよく分析し、そこに適合する本を流し込むというのが、愛国本の出版社がやっていることなのだ。そして、流し込めるだけの実績を、右派系の本は持っている。

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