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相次ぐ企業の不正は、日本経済にとってチャンスである

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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相次ぐ企業の不正は、日本経済にとってチャンスであるの画像1三菱マテリアル、子会社2社が製品データ改ざん(Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 日産自動車、SUBARU(スバル)の無資格検査、神戸製鋼所のデータ改ざんに続いて、三菱マテリアルの子会社が検査データを改ざんしていたことが明らかになった。こうした不正行為は、国内企業の信用失墜を通して競争力低下につながる重大な問題であることは言を俟たない。生産管理の専門家などが、管理の厳格化、コンプライアンスの体制強化、コーポレートガバナンスの強化など、さまざまな取り組みが必要だと指摘している。そうした指摘の多くはうなずける点が多い。

 一方で、そうした取り組みが組織の創意工夫を委縮させるという見方もある。あまりに現場への縛りが厳しくなると、有効な解決策を見いだすことが難しくなることも懸念される。逆に考えれば、不正問題が表面化したことは、現場ベースの仕事を見直すチャンスともいえる。むしろ、そのチャンスを生かして、組織全体の革新=イノベーションを実行する好機とすべきだろう。

不正問題の背後に潜む重要なファクター

 データの改ざんなどは許されることではない。批判されるのは当然だ。なかには、データの改ざんが発覚した後も不正の恐れのある製品が出荷されていたことがあったと明らかになっている。

 当該企業は、不正発覚を機に全社的な品質管理体制を見直すべきだ。現在、わが国の景気は安定しており、そうした取り組みを進める余裕もあるだろう。政府も体制の見直しに向けた働きかけを行う必要がある。その上で、データの改ざんや無資格従業員による検査が発生した根本的な原因を追及しなければならない。

 原因のひとつとして考えられるのは、企業経営に緊張関係が薄れていることかもしれない。ここで言う緊張関係の希薄化とは、企業が、これまでにはない新しいモノを生み出す取り組みを進められなかったことに起因するかもしれない。従来の取り組みを続けると、私たちは作業に習熟し、学習効果が蓄積される。それをうまく使うと生産を効率化することができる。

 一方、学習効果によって「ここだけ見ておけば問題ない」というように、検査項目の軽視につながる恐れもある。それが、今回のデータ改ざんなどにつながった可能性がある。新しい取り組みを進める上では、過去の発想や成功体験が常に有効とは限らない。成功体験に固執しすぎると、環境変化に対応できないこともある。既存のビジネスを重視して収益を獲得しようとする考えが強くなりすぎると、その企業の発想は緊張関係の希薄化=過去の行動様式を延長した発想に向かいやすいといえる。それは、不正などの温床を生む一因と考えられる。

ヒット商品の創造がイノベーションをもたらす

 
 緊張関係の希薄化を防ぐためには、需要(人々のモノやサービスを手に入れたい、欲しいと思う気持ち)を刺激する“ヒット商品”を生み出すことを考えればよい。これが基本的な発想だ。問題は、ヒット商品の創造に向けた取り組みが、口で言うほど簡単なことではないことだ。

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