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不正のデパート・神戸製鋼所と安倍首相

文=編集部

解体は不可避か

 神戸製鋼のデータ改ざんは日本のものづくりの信用を傷つけた。市場関係者の関心は「今後のシナリオ」に移っている。

「会社が危ないんじゃないか。あれだけ次から次へと出てくると深刻だ。これから訴訟も起こされるだろう。東芝みたいになるんじゃないか」(経団連の元副会長)

 神戸製鋼は鉄鋼、アルミ・銅、建設機械の主力3事業の規模がどれも中途半端。グローバルな競争で生き残るために、経営統合など抜本策を講じなければならない時期に差し掛かっていたのに、独立路線にこだわった。

 今回の不正で対策費用は1000億円規模に膨らむ。そのため、独立した経営を続けるのは難しくなってきた。そこで業界再編や事業売却のシナリオが浮上する。

 鉄鋼業界は12年に新日本製鐵と住友金属工業が合併して新日鐵住金が誕生した。神戸製鋼は新日鐵住金、JFEホールディングスに次ぐ万年3位だ。JFEは02年に川崎製鉄とNKK(日本鋼管)が経営統合して発足した。

 JFEが神戸製鋼獲りに乗り出すとの見方が有力だ。

「神鋼を買収すればJFEは新日鐵住金と肩を並べることができる。神鋼が持つアルミ素材を取り込むことで、軽量化素材として有望な鉄とアルミの複合材事業を強化できる。JFEはアルミ素材を喉から手が出るほど欲しがっている」(同)。JFE、神鋼ともメガバンク3行が融資しているが、みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ銀行がメインだ。

 顧客離れが起こり、解体のシナリオが浮かぶ。自動車向け事業に強みを持つアルミ事業が対象だ。アルミ業界では国内首位の古河スカイと同2位の住友軽金属工業が経営統合し、13年にUACJが発足した。

 国内のアルミの生産量はUACJがダントツ。2位の神戸製鋼はUACJの半分の規模だ。3位の三菱アルミニウムが買収の手を挙げる可能性がある。三菱アルミニウムは三菱マテリアルの連結子会社。三菱マテリアルと神戸製鋼の銅管事業が統合したのが、JISの認証を取り消されたコベルコ マテリアル銅管だ。

 建設機械部門であるコベルコ建機もコマツ、日立建機に次いで万年3位。日立建機の前社長の辻本雄一相談役とコベルコ建機の楢木一秀社長は大阪大学の同窓。日立建機が合併すればコマツの背中が見えてくる。

 自動車用の軽量素材に力を入れる繊維や樹脂の異業種もアルミ事業に魅力を感じている。三菱ケミカルホールディングスや、炭素繊維複合材で世界首位の東レが手を挙げるというシナリオを描くアナリストもいる。

 神戸製鋼のデータ改ざん問題は、鉄鋼、アルミ、建設機械、さらには繊維・化学業界に新たな再編をもたらすことになりそうだ。

 神戸製鋼所の企業体質はまったく変わっていない。不祥事が起こるたびにトップの首をすげ替えてきた。今度も川崎氏が引責辞任して、幕引きを図ることになるだろう。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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