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最高裁、NHK受信料義務「合憲」…「公共の福祉に適合」と判示、過去11年分の支払い命令

文=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士
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最高裁、NHK受信料義務「合憲」…「公共の福祉に適合」と判示、過去11年分の支払い命令の画像1NHK放送センター本部(「Wikipedia」より/Rs1421)

最高裁の判断

 本日、NHK料金(受信料)の支払義務に関する重要な最高裁判所の判決が言い渡されました。

 放送法64条は、「(概要)テレビやワンセグなど、NHKを見ることができる装置を設置した者は、NHKと受信契約をしなければならない」と定めています。この法律のとおりであれば、テレビなどを買った人は「NHKと強制的に契約をしなければならず、もちろん、受信料も支払わなければならない」ことになるのですが、そもそも現代社会・資本主義社会においては、「契約の自由」という原則があり、(1)誰と、(2)どのような契約をするかが自由である以上、「テレビを買う=NHKと契約をしなければならない」というのは、なんだか納得がいかないところがあります。

 そこで、これまでにも多くの人が「NHKと強制的に契約させられ、強制的に受信料を支払わせられるのは憲法に違反する」などとして争ってきたわけです。

 今回、NHKは東京都内に在住の過去に一度も契約をしたことのない60代の男性をターゲットに、受信料を請求する訴訟を提起して最高裁までのぼってきたわけですが、この裁判のなかで男性は、

・契約もしていないのに、強制的に契約させられるのは、個人の尊重(憲法13条)や財産権(憲法29条)に違反する
・もし、契約が認められても、一部の受信料はすでに消滅時効になっている

と主張して争ってきました。

 これに対し最高裁判所は、受信料に関する国民の興味が高いとして、わざわざ裁判官15名全員で構成する大法廷を開き(なかなかないことです)、

・放送法第64条の「契約をしなければならない」という規定は、テレビなどを買った人の義務である
・今回、裁判によって契約が成立したことを認めるので、テレビを設置してから支払っていなかった分の受信料を全額支払え
・ただし、テレビを設置したからといって自動的にNHKと契約が成立するわけではなく、請求したければ、個別に裁判を起こして契約の存在を確認する必要がある

という判断を下しました。ちなみに、この方は平成18年にテレビを設置したので、その時点からの受信料は合計約20万になります。

ホントにいいのか?

 確かに、医者に治療をお願いする場合の「診療契約」や、電気や水を供給してもらうための「電気利用契約」「水道利用契約」などは、命に関わることであったり公共性が高いことから、医者側、電気会社・水道会社側には、患者や利用希望者との間で「契約をする義務」があるとされています。これは、前述の「契約の自由」の例外となるわけです。

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