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「白木屋」「笑笑」系、経営危機に…大量閉店に違法客引き、他社のモノマネ店量産の限界

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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グループ店舗を大量閉鎖のワケ

 業績が悪化し、大量閉店に追い込まれた理由は大きく2つ考えられる。

 ひとつは「競争の激化」だ。日本フードサービス協会の調査によると、居酒屋業界の市場規模は92年の1兆4600億円をピークに、その後は減少の一途をたどっている。13年以降は少し持ち直したものの、1兆円をわずかに上回る水準で概ね横ばいで推移している。しぼんだパイを各社が奪い合っている状況だ。若年層の酒離れや高齢化の進展による飲酒量の減少などが背景にある。

 近年、居酒屋業界以外の外食店が実施している「ちょい飲み」サービスが、居酒屋から客を奪っているという側面もあるだろう。吉野家はアルコールやつまみ類などの居酒屋メニューを夜に提供する「吉呑み」サービスを提供し好評を得ている。日高屋は「ちょい飲み日高」を標榜し、「中華そば」(390円)、「餃子」(220円)、ビール(330円)を頼んでも、1000円でお釣りがくることを売りにして人気を博している。

 また、モンテローザが展開する居酒屋の魅力が相対的に下がっていることも影響していると考えられる。モンテローザは勢いがある競合業態を研究し、似たような店舗を新たに開発して展開する手法で成長してきた側面がある。たとえば、「鳥貴族」に似た「豊後高田どり酒場」、「和民」に似た「魚民」、「塚田農場」に似た「山内農場」、「月の雫」に似た「月の宴」がそうだ。「和民」と「魚民」に関しては、店名や看板のデザインが似ているとして、モンテローザは「和民」を運営しているワタミフードサービスと裁判沙汰になったこともある。

 模倣は決して悪いことではない。魅力的な選択肢が増えることになるので、消費者にとっては不都合ではないからだ。そのため、初期の頃であれば模倣は成長の原動力となり得る。しかし、市場が成熟し似たような業態が乱立するようになってしまうと、単なる二番煎じでは立ち行かなくなってしまう。その段階で“本家”に勝ることができれば問題ないが、モンテローザの場合は二番煎じの状態に甘んじている感が否めない。消費者の嗜好が多様化していることもあり、モンテローザの各店舗が飽きられているのではないだろうか。

 大量閉店に追い込まれた2つ目の理由は、「人手不足」だろう。飲食業界における人手不足は深刻化しているが、モンテローザは2000店を超える店舗を抱えていたこともあり、人手不足の問題はより深刻だったはずだ。人手が足りないため、店舗を集約するかたちで店舗を閉鎖していったと考えられる。

 モンテローザの業績は急激に悪化している。そのため、これまでの施策が通用しなくなってきており、新たな成長戦略を描く必要に迫られている。これまでにない居酒屋、もしくは単なる模倣で終わらない、「本家を超える業態」を開発する必要があるのではないだろうか。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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