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在宅勤務、一瞬でブーム終了の予兆…普及拒む「上司」

文=溝上憲文/労働ジャーナリスト
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 だが、参加企業を見ると、情報通信会社やサテライトオフィスを提供する不動産関連会社などテレワーク関連サービス業が目立つ。イベントの仕組みや方法などは、商品やサービス供給企業主体のプレミアムフライデーの実施と重なる印象を抱かせる。

 だが、こうした盛り上がりとは逆に、実際のテレワークの利用者は少ないのが実態だ。今年6月8日公表の総務省の「平成28年度通信利用動向調査」によると企業のテレワーク導入率は13.3%。前年度は16.2%だったが、なぜか低下している。また、国交省の「平成28年度テレワーク人口実態調査」(29年6月発表)によると、テレワーク制度のある雇用型テレワーカーの割合は7.7%となっている。

 また、労働政策研究・研修機構の「イノベーションへの対応実施状況調査」(2017年1~2月実施)でも「会社が制度として認めている」と回答した企業が4.5%。「制度はないが上司の裁量や習慣により実施」が7.7%。計12.2%にすぎない。全体として大企業の導入率は比較的高いが、中小企業では1桁にとどまっている。

普及しない理由

 一方、社員のテレワークのニーズは高い。日本テレワーク協会が業務でメールを利用している20~69歳の労働者を対象に実施した調査(「働き方に関する調査」2015年12月)では「メールと電話さえあればオフィスに出勤しなくても仕事ができる」と答えた人は50.1%。「毎日出勤しないと仕事ができない」と答えた49.8%を上回っている。また、現在は在宅勤務をしていないが、今後利用したいと考えている人は59.1%もいる。

 にもかかわらず制度導入や利用者が少ないのはなぜなのか。理由は3つある。

 1つは導入に消極的な経営者が多いことだ。日本テレワーク協会の担当者は「テレワークに関心のない経営者は今までのように社員が会社に集まって仕事をすることによって一番生産性が上がると考えている。中小企業では人手が足りないので絶対にそんな働き方はできないという会社も多い」と指摘する。

 2番目は制度利用者の限定と上司の不安だ。利用対象者を育児・介護などに限定している企業が多いが「対象を一部の社員に限定すると、利用できない社員から『あなたばかりいいよね』と妬みを買い、使いづらくなり誰も利用しないという状況もある」(日本テレワーク協会担当者)。

 また、上司も離れたところで仕事をしている部下にどういう仕事を出せばいいのか、あるいはちゃんと仕事をしているのかという上司の戸惑いもある。

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