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石原藤樹「その医療の常識、本当ですか?」

なぜ、●●を食べると老化が進む? 老化を防ぐ食べ方

文=石原藤樹/北品川藤クリニック院長

老化の秘密とリンの働き

 抗老化遺伝子であるクロトー遺伝子を働かなくしたネズミは、老化が急速に進行します。そこで、実際にクロトー遺伝子はどのように作用をしているのかを研究していくと、血液のリン濃度(無機リン)との関係が浮上しました。

 クロトー遺伝子が欠損しているネズミでは、体内にリンがたまっていて、食事のリンを制限することで、クロトー遺伝子自体は働いていなくても、動脈硬化や骨粗鬆症などの老化現象が、起こらなくなることが証明されたのです。

 それでは、なぜリンが体にたまると老化するのでしょうか?

カルシウムとリンの役割

 リンはカルシウムに次いで体に多いミネラルで、その多くは骨の成分として、カルシウムと一緒に存在しています。

 体の状態を安定に保つためには、カルシウムとリンの比率(カルシウム・リン積と表現される)が一定に保たれることが必要ですが、リンが体にたまり、カルシウム・リン積が上昇すると、血管の壁や皮膚など、骨以外の場所への石灰化(カルシウムの沈着)が起こります。

 血管の壁にカルシウムが沈着すれば動脈硬化となりますし、骨への正常な沈着が起こらなくなれば、骨量は減少して骨粗鬆症になります。つまり、こう考えると、老化といわれている現象の多くは、リンの蓄積が原因とも考えられるのです。

高リン食による老化のメカニズム

 2017年の「Scientific Reports」誌に、リンをたくさん摂るとなぜ老化が進行するのかについての、興味深い論文が掲載されました(文献2)。Enpp1という遺伝子があって、体の病的な石灰化を抑える働きをしています。そのEnpp1が、実はクロトー遺伝子と関係を持っています。

 クロトー遺伝子の主な働きは、FGF23という一種の成長因子と協力して、リンを体の外に排泄することですが、Enpp1遺伝子がうまく働いてくれないと、クロトー遺伝子の働きも低下して、結果としてリンが体にたまってしまうのです。リンが体に悪影響を与える仕組みには、ビタミンDが大きく関係していることも明らかになりました。ビタミンDは骨の健康に良いビタミンとして薬やサプリメントになっていますが、リンが体にたまった状態では、実は老化を進めるのにも一役買っているのです。体の仕組みというのは、本当に不思議で微妙なものです。

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

北品川藤クリニック院長。医学博士。1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科大学院卒業。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任
北品川藤クリニック

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