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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

荒れる相撲界、力士の食べる「ちゃんこ」の乱れが原因か

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

乱れてきた力士の「ちゃんこ」

 さて、大相撲の話に戻りますが、本場所と本場所の間には巡業があります。日本各地を巡り、普段、本場所を観に来られない方たちのために、力士が稽古を続けながら相撲を観ていただくという、昔から続いている伝統のひとつです。日馬富士の事件も、その巡業中に起こりました。

 筆者は時々、相撲部屋に招いていただき、稽古を見た後に力士たちと一緒に「ちゃんこ」を食べる機会を得ますが、その時に思うのは、力士たちにとって最も大事なちゃんこが、本来のものではなくなってきているということです。

 ちゃんこは、お鍋だけではなく、力士が食べるすべてのものを指します。力士は「食べることも仕事のうち」といわれるように、きちんと食べないと出世できません。そのちゃんこに、以前はあまり登場しなかった揚げ物がたくさん出るようになりました。すべての部屋がそうだとは思いませんが、その傾向は少なからずあるようです。力士たちにたくさん食べさせたいという部屋の思いを反映しているのかもしれませんが、体が資本の力士だからこそ、揚げ物の多食は気をつけなければなりません。しかし、そのあたりの理解は、いまひとつ足りないようです。市販のマヨネーズを使った料理や、着色料たっぷりの漬物も並んだりします。さらに驚くのは、どの料理も甘いことです。

 神事に始まった日本の伝統を守る相撲の世界も、こと食文化に関しては、一般の人と変わらぬ状況になっているようです。今後、相撲界が外国の方々をどのように受け入れていくのかはわかりませんが、日本の伝統、文化を理解するためには、日本の食文化をまず理解しなければならないと思います。相撲は、ただ強ければそれでいいというわけにはいかないのです。相撲はただの競技、スポーツとは違います。勝てばいいのではありません。

 今後、日本に住むことになるかもしれない外国の方々にも、日本の伝統や文化のことをぜひ理解していただきたいものです。そして私たちも、その日本の伝統と文化を伝えるために、まずは自分たちの食文化を学び直す必要があるでしょう。国家を維持、運営していくために外国からの移民を受け入れなければならない事態となった場合、その国に根付いている伝統や文化を、どのようにして伝え、理解してもらい、受け入れてもらい、馴染んでもらうのかというのは、非常に難しい問題で、一朝一夕にできるものではありません。しかし、平和的に共存していくためには、それをやらなければならないということを、私たちは認識しなければならないのです。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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