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金子智朗「会計士による会計的でないビジネス教室」

嵐・櫻井翔の父の電通「役員」就任、報じられない「事実」

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執行役員は一従業員


 経営の執行と監督を明確に分離し、取締役が「取り締まる役」に徹するのはアメリカ型だ。監査役を置くのはドイツ型である。日本は、ドイツをお手本に会社法制をつくってきたので、アメリカ型はかつては認められていなかった。執行役員はアメリカ型がまだ認められていなかった1997年に、ソニーがそれを疑似的に実現するために設けたのが始まりである。以来、多くの企業が執行役員という役職を置くようになったのである。

 今でも執行役員を置く企業が多いのは、指名委員会等設置会社の人気がないからだ。指名委員会等設置会社では指名委員会、監査委員会、報酬委員会という3つの委員会とも取締役により構成されるが、その過半数は社外取締役でなければならない。それは役員の人事と報酬が社外の者に決められてしまうということである。そこが日本企業としては受け入れがたいのだろう。

 その代用として重用されるのが執行役員であるが、役員といいつつも法的には役員でもなんでもない。執行役は株主代表訴訟の対象になるが、執行役員は株主代表訴訟の対象になることもない。執行役員は会社が任意に名付けた役職名のひとつにすぎないのである。法的位置づけは部長や事業部長などと何も変わらない。

 したがって、神戸製鋼の品質データ改ざんを執行役員が知っていたというのは、「部長が知っていました」と言っているのと同程度の意味しかない。「部長だったら、そりゃあ知ってたんじゃないの」という話で、実はそれほど驚く話ではないのだ。

 驚くべきは桜井氏が電通の執行役員になったことである。これが取締役になったというのなら、限りなく社外役員に近いかたちでたまに出社する程度なのかもしれない。しかし、執行役員である。それは一従業員として電通に再就職したということだ。64歳にしてこの決断は、採用する側もされる側もなかなかの決断だと思う。
(文=金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表)

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