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【はれのひ事件】着物業界の「浮世離れした」常識…100万円も前払い、2年前から予約

文=A4studio
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人気振袖の争奪戦、競合他社を出し抜くための早割

 まず取材に応じてくれたのは、関東を中心に全国にチェーン展開する振袖専門店Aの従業員だ。

「レンタル・購入問わずに、新作の発表が不定期な着物ブランドが多いため、お客様にお見せできる振袖は来店のタイミングによって異なり、1店舗が確保できる枚数にも限りがあります。そのため、お気に入りの振袖は見つけ次第、すぐに予約しておかないと、次の来店時まで残っている保証がなく、早めのご契約をおすすめしております。

 振袖に強いこだわりはなく、お店にある振袖のなかからレンタルするというのであれば、そこまで時間も費用も要しません。しかし、新成人のご家族が『上質な振袖と小物を身に着けて晴れの日を迎えてほしい』とお考えの場合は、かなり早めの時期から足を運んでいただいております。たとえカタログで目星を付けていても、すでに先約があり注文できないということもザラにありますので、2年ほど前から何度もお店に足を運ぶお客様も少なくありません」(振袖専門店A・従業員)

 一口に成人式といっても、かける時間もかける金額もピンからキリまであり、今回のはれのひ騒動で大きな被害を受けたのは、比較的こだわりが強い新成人とその家族だったのかもしれない。

 さらに、成人式前にプロのカメラマンに晴れ姿を撮ってもらう「前撮り」の時期や、振袖を着る際に必要な小物集めなどの側面から考えても、2年前の予約は妥当だと続ける。

「昨今では、成人式の10カ月前あたりから前撮りをする傾向にあります。夏を越して日焼けした肌では振袖が似合わなくなってしまったり、進学などの理由から県外に住んでいるお客様が前撮りを通して振袖の最終チェックをしたりするので、早くに行う方が増えているからです。そのため、振袖選びの過程から含めて考えていくと、2年前の予約もおかしいことではありません。

 また、レンタル商品では、バッグや草履、髪飾りが含まれているセットメニューもあるのですが、お客様の好みにそぐわない場合もありますから、小物類を自分で買う方もいらっしゃいます。そうした買い物を前撮りに間に合わせようとすると、自ずと前倒しで準備をする必要が出てくるのです」(同)

 ほかにも、成人式当日のヘアメイクや着付けの予約時間も2年前という早期契約に関係していると話すのは、東京都を中心に全国展開し、自社ブランドの着物を販売・レンタルするチェーン店Bの従業員。

「成人式当日は、式が開始される時刻から逆算して着付けやヘアメイクの予約を取りたい方がほとんどです。たとえば、午前11時に成人式が開始される場合、着付け会場からの移動を含めて、朝の7時から8時に予約を入れておくのがベストとされています。そして、そういった人気の時間帯の予約は真っ先に埋まっていくので、“ちょうどいい時間帯”でのヘアメイクを確実に押さえておくためには、2年ぐらい前に予約しておく必要があるというわけです」(着物専門店B・従業員)

 Bでは、早期予約を入れると代金が20%引きとなる「早割」もあるという。競合他社に顧客が流れないように早めに囲い込もうと、このような割引サービスを行う業者も出てきているため、予約時期の早期化に一層拍車がかかっているのかもしれない。

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