ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 森友、不正払い下げ財務省職員は栄転  > 3ページ目
NEW

安倍首相に逆らった森友・籠池氏は6カ月間勾留、不正払い下げの財務省職員は栄転

文=青木泰/環境ジャーナリスト
【この記事のキーワード】, ,

 昨年5月に両告発状が出されていたが、4カ月放置され、9月に東京地検の森本宏東京地検特捜部長が就任したその週の内に受理が決まり、森友問題を所管する大阪地検特捜部に移送されたが、大阪地検特捜部では再び放置されている。

 森友問題が2017年の国会で論議されすでに1年近くになるが、それでもなお国民が関心をそらさず、世論調査でも安倍内閣による措置に納得しないが8割近くを占めている。国民が注目する問題として継続しているのは、下記の4点によると考えられる。

・あまりに非常識な値引きが、国有財産の払い下げで行われた。
・安倍首相が、昨年2月の福島伸享(民進党;当時)衆議院議員の質問に、「私や妻が関与していれば議員を辞める」旨の発言をした。
・昭恵氏が森友学園が設立する小学校の名誉校長に就任していた。
・籠池氏が上記小学校開校の見込みがなくなるなかで、安倍首相とは距離を置き、昭恵氏から100万円を受け取ったことを証言し、その後も縁故者として便宜供与を受けた立場から情報の提供を続けた。

 籠池氏は、証人喚問での証言に加え、その後も格安払い下げの経過について民進党の調査チームで証言したり、ジャーナリストの菅野保氏を通して音声データ、メモ、メールの記録などの物証を公表し、菅野氏も「週刊朝日」(朝日新聞出版)などの媒体でそれを報告した。一方、国会論議で政府は「記録は廃棄された」「記憶にない」「払い下げは適切」といった隠蔽に終始した。

 籠池氏の拘留の理由は、罪証隠滅と逃亡の怖れということであるが、証拠隠滅どころか次々と証拠を明らかにしてきたのである。また顔はすでに全国に知れ渡り、逃亡の可能性は低い、前出の郷原弁護士は「逮捕の理由はない」と指摘している。

安倍首相の不正にメス

 東京地検特捜部は森本特捜部長の就任以来、前述のとおり森友問題をめぐる市民団体の告発状を受理し、昨年12月にはスーパーコンピュータ開発会社PEZY Computing社長の齊藤元章氏を補助金不正受給容疑で逮捕、そしてJR東海が進めるリニア新幹線をめぐりスーパーゼネコン4社による談合問題に、公正取引委員会と協力して、捜査に入っている。

 齊藤氏の事業では、強姦の疑いで民事訴訟を起こされている元TBS記者の山口敬之氏が資金集めに関与していたと報じられているが、山口氏は以前より著作本「総理」を持ち歩き、安倍首相と親しい関係であることを公言している。また、リニア工事に国は財政投融資を3兆円投入しており、談合を仕切っていた大林組社長は安倍首相のゴルフ仲間であると日刊ゲンダイは報じている。

 東京地検特捜部は、安倍首相が関与してきた数々の不正行為にメスを入れ始めたように見える。会計検査院に続き、公正取引委員会、そして東京地検特捜部が、行政が歪められている事態に対し動き出した。大阪地検特捜部もこの動きに追随し、森友問題の本格捜査に入ることを期待したい。

 森友学園への国有地払い下げに当たって役所で決済や窓口の指導など直接関与していた職員が10人を下らない点を考えると、窓口職員が個々に違法行為を犯した刑事責任という意味合いを超え、上からの命令で動いた可能性が問われる森友疑獄事件へと発展する可能性がある。まさに巨悪を許さない特捜部の出番である。籠池氏の逮捕・勾留・接見禁止がこのまま続き、官僚たちの不正行為が放置されれば、法治国家が危機にさらされる事態になりかねない。
(文=青木泰/環境ジャーナリスト)

安倍首相に逆らった森友・籠池氏は6カ月間勾留、不正払い下げの財務省職員は栄転のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!