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神奈川がんセンター、医師が次々退職の異常事態…重粒子線治療が存続の危機

文=田中幾太郎/ジャーナリスト
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 辻井医師の起用を黒岩知事が自ら行ったわけではないが、そこで見え隠れするのが神奈川県立がんセンターを管轄する神奈川県立病院機構の土屋了介理事長の存在だ。黒岩知事から直接乞われて、2014年に理事長に就任した。

「名前が売れている土屋氏に黒岩知事が飛びついた。そして、土屋氏は黒岩知事の意向を踏まえて動くという図式です。しかし、彼には細部を見渡す力もなければ、リーダーシップも著しく欠如していた」(同)

 こうした声に同調するのが、土屋氏が国立がんセンター(現国立がん研究センター)中央病院長だった時代(06~10年)を知る同院のベテラン医師だ。

「麻酔医と手術部長が対立するという内紛が起きたのですが、土屋病院長は何ひとつ、指導力を発揮することができなかったのです。結局、10人の常勤麻酔医のうち5人が退職してしまい、手術に著しく支障が出た。この時のことを考えれば、土屋さんを組織のトップに据えるなんてありえない」

 黒岩氏の責任が問われるところだが、そもそも、この知事はやたらと人気取りに走るというきらいがある。初当選した11年の知事選では公約に「4年間で太陽光パネルを200万戸分設置」と掲げたが、就任早々に撤回。2期目の選挙でも、重粒子線治療導入を自身の成果として大々的に謳った。

 よもや、1期目の時のように撤退などということにはならないだろうが、ポピュリズムに走るテレビ出身知事の限界も見えてくるのである。
(文=田中幾太郎/ジャーナリスト)

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