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熊谷修「間違いだらけの健康づくり」

老化抑制&健康寿命を実現するための「食品摂取の評価票」リスト

文=熊谷修/東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、学術博士

食品摂取の多様性得点

 このような経緯と背景を十分酌量し、筆者らは食品摂取の多様性のメルクマールとして、わかりやすく、科学的に堅牢な健康変化の予測妥当性を備えた食品摂取の多様性得点を開発した。そもそも、適度に欧米化した多様性に富んだ日本食とは、多様な栄養素、ミネラル、機能性成分を摂取して体の組織がリノベーションされる(老化が進みにくい)最良の栄養環境づくりのために欠かせない食品コンビネーションと理解できる。この栄養環境づくりに適した食事に沿った食材構成か否かを評価しているのが食品摂取の多様性得点である。複雑な開発プロセスは省略するが、端的な特徴は次の通りである。

(1)食品の数でカウントすると栄養素をはじめとする摂取成分に重複が生ずるため食品群でカウントする。

(2)主なエネルギー源である主食の穀類は大半が炭水化物のため、多様性を評価する食品群から除き、摂取することを前提とする。

(3)主菜・副菜を構成する食品群の8割程度が網羅できる食品群を厳選する。

(4)可能な限り少ない食品群数にする。

(5)簡単に自己評価できる摂取頻度を用いる。

 この条件をすべて満たしたメルクマールが10食品群を対象とした食品摂取の多様性得点である。この1週間程度の毎日の食事を振り返り、肉類、卵、油脂類、牛乳、魚介類、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、イモ類、海藻、果物について、「ほとんど毎日食べる」「2日に1回」「週に1~2回」「ほとんど食べない」の4つのカテゴリー示し、回答を求める。そして、「ほとんど毎日食べる」の回答に1点を与え足し合わせたのが食品摂取の多様性得点となる(熊谷修ほか、日本公衆衛生雑誌、50(12)1117-1124、2003)。

 一部のメディアでは、10食品群のイラストを示し「ほとんど毎日」食べていると判断できる食品群の数が食品摂取の多様性となる、などと解説している誤った使用法を示した引用表現がみられるが、この方法では正しい多様性得点は算出できない。あくまでも、4カテゴリーを提示した評価票に基づくことで信頼性のある得点が算出される。正しい評価票を資料に示した。まずは、読者の皆さんこの評価票を使って自身のありのままの食事を振り返り、食品摂取の多様性得点を出してみてください。次回はこの多様性得点がもつ健康変化の予測力について解説したい。
(文=熊谷修/東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、学術博士)

<資料>
食品摂取の多様性評価票

 ふだんの食事についてお伺いします。あなたは次にあげる10食品群を週に何日ぐらい食べますか。ここ一週間ぐらいの様子についてお伺いします。

魚介類(生鮮,加工品を問わずすべての魚介類です)
1.ほとんど毎日 2.2日に1回  3.一週間に1~2回  4.ほとんど食べない

肉類(生鮮,加工品を問わずすべての肉類です)
1.ほとんど毎日 2.2日に1回  3.一週間に1~2回  4.ほとんど食べない

卵(鶏卵,うずらなどの卵で,魚の卵は含みません)
1.ほとんど毎日 2.2日に1回  3.一週間に1~2回  4.ほとんど食べない

牛乳(コーヒー牛乳,フルーツ牛乳は除きます)
1.ほとんど毎日 2.2日に1回  3.一週間に1~2回  4.ほとんど食べない

大豆・大豆製品(豆腐,納豆などの大豆を使った食品です)
1.ほとんど毎日 2.2日に1回  3.一週間に1~2回  4.ほとんど食べない

緑黄色野菜類(にんじん,ほうれん草,かぼちゃ,トマトなどの色の濃い野菜です)
1.ほとんど毎日 2.2日に1回  3.一週間に1~2回  4.ほとんど食べない

海藻類(生,乾物を問いません)
1.ほとんど毎日 2.2日に1回  3.一週間に1~2回  4.ほとんど食べない

いも類
1.ほとんど毎日 2.2日に1回  3.一週間に1~2回  4.ほとんど食べない

果物類(生鮮,缶詰を問いません。トマトは含みません。トマトは緑黄色野菜とします)
1.ほとんど毎日 2.2日に1回  3.一週間に1~2回  4.ほとんど食べない

油脂類(油炒め,天ぷら,フライ,パンに塗るバターやマーガリンなど油を使う料理です)
1.ほとんど毎日 2.2日に1回  3.一週間に1~2回  4.ほとんど食べない

<熊谷修ほか、日本公衆衛生雑誌、50(12)1117-1124、2003)より引用。2次利用する際は許可が必要です>

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

1956年宮崎県生まれ。人間総合科学大学教授。学術博士。1979年東京農業大学卒業。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国最初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者である。東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、介護予防市町村モデル事業支援委員会委員を歴任

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