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東京都、財政に危機か…安倍政権が小池知事へ報復、ふるさと納税で巨額税金流出

文=小川裕夫/フリーランスライター
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 こうした税制マジックがあるからこそ、税収に乏しい地方の自治体はふるさと納税集めに躍起になっているのだ。

 新たなメニューをつくり、ふるさと納税による税の流出に対抗手段を打ち出しているのは世田谷区だけではない。文京区は低所得の子育て世帯を支援するべく、子ども宅食事業を開始。その財源は、ふるさと納税で集められた資金が元手になっている。また、目黒区は桜の名所と言われる目黒川沿いのソメイヨシノの植え替え費用をふるさと納税で集めている。どの区も豪華な返礼品はない。

地方消費税の清算基準見直し

 それまで税を吸い取られる側の東京23区が反撃に出たのは、前述したようなふるさと納税によって多額の税金が収奪されていること以外にも理由がある。それが、地方消費税の清算基準が見直されていることだ。来年度、政府は地方消費税の清算基準を見直すことを決めた。これにより、東京都が得られる地方消費税は最大で2000億円もの減収が見込まれている。東京都職員は、憤慨する。

「東京都は、地方消費税の清算基準見直しについて一貫して反対してきました。地方消費税の前身ともいえる消費贈与税が創設された1989年以降、政府は繰り返し基準の見直しをしています。それにより、東京都は累積で5兆1000億円もの税収を収奪されているのです。また、直近では今年度、つまり17年度にも見直したばかりなのです。それにもかかわらず、来年度にも再び見直されるわけです。これは、政府による“東京都潰し”としか思えない横暴な話です。これ以上、東京都は税を奪われるわけにはいかないのです」

 小池百合子都知事は、政府・自民党が進める一方的な地方消費税の清算基準見直しに異を唱えた。そして、政府・自民党にも積極的に陳情を繰り返した。小池都知事による陳情は奏功せず、政府と東京都の税戦争は小池都知事の完敗ともいえる結果で終結した。これで、東京都の減収は決定的になった。

 前出の東京都職員とは別部署の都職員は、こう漏らす。

「今回の地方消費税の清算基準見直しは、安倍政権が取り組む地方創生の一環だといわれています。財政的に豊かな東京都の税収を地方に回すことで、地方を活性化させることが狙いだというのです。しかし、実態は小池都知事に対する懲罰的な意味合いが大きいように見えます。安倍政権・自民党に反旗を翻したことへの代償ということでしょう」

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