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成馬零一「ドラマ探訪記」

『アンナチュラル』がほかのドラマとは「水準が違う」理由

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金曜ドラマ『アンナチュラル』|TBSテレビ」より
 第5話を終えて折り返し地点に入った『アンナチュラル』が盛り上がりを見せている。


 TBS系で金曜夜10時から放送されている本作は、不自然死(アンナチュラル・デス)の原因を究明するUDIラボ(不自然死究明研究所)という架空の研究機関を舞台にした物語だ。

 UDIラボのメンバーは、法医解剖医の三澄ミコト(石原さとみ)、所長の神倉保夫(松重豊)、臨床検査技師の東海林夕子(市川実日子)、記録員の久部六郎(窪田正孝)、そして法医解剖医の中堂系(井浦新)。

 彼らがときに反発し合い、ときに力を合わせながら遺体の死因を究明し、事件の真相を明らかにする。

 本作は海外ドラマでいうと『CSI:科学捜査班』シリーズ、日本では『科捜研の女』(テレビ朝日系)といった、遺体を調べることで死因を究明し事件の真相を明らかにする科学捜査モノの系譜にあたる作品だ。

 設定自体には、あまり新味はない。物語も1話完結の事件モノで、一見ありきたりな作品に見える。だが、これは欠点ではなく、ドラマを見る際のハードルの低さにつながっている。

 しかしながら、気楽に見始めたら最後、毎回いつの間にかとんでもないところに連れていかれてしまうため、目が離せない。

『逃げ恥』の脚本家が描くミステリー


 プロデューサーは『ケイゾク』や『ATARU』などのミステリードラマで知られる植田博樹と、『Nのために』や『リバース』といった湊かなえ原作小説のドラマを手がけてきた新井順子。チーフ演出は、新井と共に湊かなえ作品を手がけてきた塚原あゆ子。そして、脚本は『逃げるは恥だが役に立つ』(以下、『逃げ恥』)の野木亜紀子が担当している。

 同じTBS系でも違うタイプのドラマを手がけてきた3組が組むことで、今までにない新しい作品を生み出すことに成功している。なかでも目を引くのは、やはり野木の脚本だろう。

 物語は毎回、UDIラボが遺体の死因を究明することで事件の真相にたどり着く。物語の題材は、パンデミック(感染症の世界的大流行)、練炭による集団自殺の背後にある自殺幇助の殺人事件(昨年10月に発覚した神奈川・座間の連続殺人事件を連想させるが、野木のツイッターによると書き上げたのは昨年の7月だったという)、主婦ブロガー殺人事件をめぐる裁判のなかで起こる女性差別、バイク事故を発端とした工場での長時間ブラック労働の問題などだ。

「死因究明」というミステリーテイストの奥にはしっかりとした社会性があり、毎回つくり手のメッセージが伝わってくる。

 また、物語のクライマックスでは米津玄師が歌う挿入歌「Lemon」が流れるのだが、このシーンが毎回絶妙である。特に第5話は衝撃だった。

 妻を殺された鈴木巧(泉澤祐希)は、検死結果と中堂の話から犯人を特定する。そして、犯人に襲いかかり包丁を振り上げる。普通のドラマなら、ここで主人公が説得して間一髪のところで思いとどまるだろう。しかし、鈴木は犯人を刺してしまう。

 ここで「Lemon」が流れる。絶望的な場面だが、雪が舞い散っており、とても美しいシーンとなっている。

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