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三越伊勢丹、ブランド力過信し成長停滞…前年比4割減益で赤字転落寸前

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

三越伊勢丹の好調さの裏側

 そうしたなか、三越伊勢丹HDが1月31日に発表した17年4〜12月期決算が、前述の2店舗の客の入りをそのまま反映したかのような内容となっていた。売上高が前年同期比2.3%増の9517億円、本業の儲けを示す営業利益が13.1%増の222億円だった。増収・営業増益で、前年同期よりも良い内容となっていたのだ。

 伊勢丹新宿店と銀座三越の好調さは、両店舗の業績にも表れている。前年割れを起こしている店舗が少なくないなか、17年4〜9月期の伊勢丹新宿店の売上高は前年同期比2.7%増の1261億円だ。銀座三越に至っては同8.6%増の408億円と、大幅な伸びを示しているのだ。

 背景にあるのは株高による資産効果と訪日外国人客の衰えぬ購買力にある。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)は上昇が続き、17年の1年間だけでそれぞれ約2割も上昇している。17年の訪日外国人は16年と比べ約2割増えて2869万人を記録し、過去最高を更新している。

 17年の百貨店の免税売上高も過去最高となり、爆買いが目立った15年(1943億円)を上回る2704億円(前年比46.3%増)となった。伊勢丹新宿店と銀座三越がある新宿と銀座は、大都市で日本の文化の中心地でもあり、訪日外国人も多く訪れる場所だ。そのため、より多くの恩恵を受けたかたちだ。

 このように、伊勢丹新宿店と銀座三越は好調だ。しかし、ほかの多くの店舗が前年割れを起こしている状況で、特に地方店は相当厳しい状況にある。現在、好調な店舗も不調に陥らないとも限らない。

 株高による資産効果が永く続くとも考えにくい。昨年までの株高は日本銀行による資産買い入れ、いわゆる量的緩和政策によるところが大きかったと考えられるが、将来の金融引き締め効果を狙って量的緩和政策を縮小させる「テーパリング」に踏み切るとの観測が高まるなど、株高がいつ終わってもおかしくない状況にある。

 訪日外国人頼みも危険だ。確かに訪日外国人は増加している。前述のとおり17年は2869万人もの外国人が訪れ、さらに政府は20年に4000万人、30年には6000万人に増やす目標を掲げており、訪日外国人による売り上げ増を期待してしまうのも無理はない。ただ、今後は訪日外国人の興味が地方観光や体験型の「コト消費」へ移っていくなどの影響で百貨店での爆買いがそれほど広がりを見せないという懸念が一方である。しばらくは免税売上高の伸びを期待するにしても、いつまでも続くとは思わないほうが賢明だろう。

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