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高橋篤史「経済禁忌録」

日韓またぐ異形の大企業、贈賄でトップに実刑判決…内部紛争混迷、解体の序曲か

文=高橋篤史/ジャーナリスト
日韓またぐ異形の大企業、贈賄でトップに実刑判決…内部紛争混迷、解体の序曲かの画像1韓国大統領機密漏えい問題、検察出頭するロッテ重光昭夫会長(YONHAP NEWS/アフロ)

 お家騒動が続く日韓ロッテグループに衝撃が走った。支配権を固めてきた創業一族の重光昭夫氏が韓国における国政介入事件に連座して2年6月の実刑判決を受け、即日収監されたのである。日本のロッテホールディングスから追放された実兄の宏之氏が今後、経営復帰に向け攻勢を強めることは必至だ。

 ソウル中央地裁が下した判決などによれば、昭夫氏ら韓国ロッテ側は前大統領の朴槿恵被告の友人で国政に強い影響力を持っていた崔順実被告と接近、免税店の許認可に絡んで便宜を受けようと関連財団に約7億円を拠出した。それが贈賄と認定されたわけだが、求刑は懲役4年だったから、2年6月の実刑判決はかなり厳しい内容だ。

 判決が出るまではむしろ楽観ムードが広がっていた。朴前大統領をめぐる事件では前の週にサムスングループの御曹司である李在鎔副会長に対し寛大な判決が出たところだった。一審における実刑判決が破棄され、執行猶予判決が下されていたのである。

 しかも昭夫氏は昨年12月にひと山乗り越えたばかりだった。韓国ロッテでは2016年夏、グループ内における不正資金問題が持ち上がり、検察による大掛かりな捜査が入った。捜査の過程ではナンバー2の李仁源氏が自殺している。同年10月、昭夫氏は背任・横領罪で在宅起訴された。この時、お家騒動で対立関係にあった宏之氏と実父で創業者の武雄氏も在宅起訴されている。

 公判において昭夫氏は検察側から10年という重い求刑を突き付けられた。が、厳しい判決が予想されるなか、下ったのは懲役1年8月の執行猶予付き判決。対して事件の首謀者と認定された武雄氏には4年の実刑判決が下った(高齢のため収監は猶予)。宏之氏には無罪判決が下されている。

 判決次第ではお家騒動の形勢が大きく変わる可能性もあったが、昭夫氏はなんとか切り抜けた格好だった。それもあり今回の実刑判決は関係者にとって予想外。進退問題も含め、どう事態を収拾していくかはまったく見通せない状況と言ってよい。

お家騒動

 今回の免税店をめぐる贈賄事件は、お家騒動が遠因と見ることもできる。日韓ロッテグループでお家騒動が勃発したのは2014年12月のことだ。ロッテホールディングスで副会長を務めていた宏之氏が突如解任されたのが始まりである。

高橋篤史/ジャーナリスト

高橋篤史/ジャーナリスト

1968年生まれ。日刊工業新聞社、東洋経済新報社を経て2009年からフリーランスのジャーナリスト。著書に、新潮ドキュメント賞候補となった『凋落 木村剛と大島健伸』(東洋経済新報社)や『創価学会秘史』(講談社)などがある。

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