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【アルマーニ標準服問題】「入学断念のご家庭出るかも」と文科省が懸念

取材・文=A4studio
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 では同校は、公立の小学校らしさをどのように考えているのか。また、なぜアルマーニが同校らしさ、銀座らしさになるのでしょうか。

 穿った見方をすれば、子どもたちにアルマーニの服を着せるというのは、高級志向を出したいという大人のエゴなのではと思えてしまいます。言わずもがな、子どもは大人たちの着せ替え人形ではありません。

 また、報道にあるように校長のほぼ独断で決定されたのだとすれば、子どもの『意見表明権』(子ども権利条約第12条)、ならびに『保護者の教育権』(父母の責任と父母への支援 第18条)を侵害しているのではとも考えられます」(同)

 武田氏は、逆に“高級ブランド服ではいけない理由”を挙げる。

「小学生という年頃を考えると、友達と身体を動かして遊ぶことが大切。それが、アルマーニというブランドの付く標準服を着せられたことによって、親から『高いのだから破いたり汚したりしてはいけない』と言われてしまったら、“標準服を大切にする考え方”ばかりに意識をとられてしまいます。これでは、教育としては本末転倒になるのではないでしょうか」(同)

根が深いいじめ問題への発展と、不適切な税金投入の懸念

 和田校長は、アルマーニの標準服導入のバッシングを受け、9日の午後に記者会見を行っている。その際、和田校長は「方針を変えるつもりはない」としたうえで対応策などを述べたが、その発言内容に対しても武田氏は異議を唱える。

「アルマーニの標準服を買える家庭と買えない家庭での格差によるいじめへの対処を徹底するとは言っていますが、どこまでできるのか疑問です。『嫌な思いをしたら教員に伝えて』と指導するとのことですが、みんなと同じ標準服を着られないだけで、他の子から何も言われなかったとしても、標準服を着ていない児童が嫌な思いをすることは明らかです。

 しかも、徐々に買い揃えていくように促すといった趣旨の発言もしており、この言葉から“本来は着るべき服”という半強制的な意図が読み取れます。言い方を変えれば、学校の方針自体が、アルマーニの標準服を着ない児童を『きちんとした心構えと志で学ぶ意識が足りない』と判断しているのと同義でしょう。見た目・ブランドが内面を左右すると判断しているとも考えられます。

 児童に『差別してはいけない』ということ伝えるには、あまりにも説得力が足りないのです。繰り返しますが、『これは標準服なのだから着ない自由もありますよ』と教えるのならばいいですが、徐々に揃えいくように求めるということが問題なのです。

 あえて辛辣な表現をするならば、『本来はアルマーニの標準服を着るべきだけれど、あなたの家は貧乏なので、学校は特別に待ってあげている。あなたがこの標準服を着られないことでいじめを受ける原因は、あなたの親にある』と言っているのと同じです。学校側は、標準服を着ていない生徒をいじめや差別から守ると明言していながらも、標準服の購入を推奨しているとなれば、倫理的にも疑問を持ってしまいます」(同)

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