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インフルエンザに治療薬はない?通院でかえって感染拡大や免疫力低下の恐れも

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

 筆者が現役の薬剤師をしていたころ、この季節の夜間診療所は高熱を出したお子さんで待合室も溢れんばかりでした。発熱してすぐに受診してインフルエンザ検査をしても、陰性と出てしまうお子さんが多くて、前回お話した解熱剤アセトアミノフェンの坐薬だけ処方されるのです。学校でもインフルエンザが流行っていて、おそらくインフルエンザに感染していると考えられるけれど、検出キットでは陰性と出てしまうとタミフルは処方されないのです。そうすると、「ウイルスの数が少なくてまだ検査で出ないから、明日また小児科を受診して検査を受けてください」といわれてしまうのです。

 ウイルス検出キットの感度を高めて、ウイルスの数が少なくても検出できるように検査精度を上げる開発もしていますが、現実的には発症後すぐに検査しても陰性とでてしまいます。

 高熱でフーフーいっているお子さんをタクシーに乗せて夜間診療所に行って、2時間も待ってやっと診察室にたどり着いたのに、「今日はタミフル出せないから明日また検査してください」と言われ、こんなことなら家で寝かせてあげていたほうが体力も使わないですんだのに、と後悔しかねません。もらえると思っていたタミフルももらえず、お怒りになるお母様の気持ちも“ごもっとも”です。

 みなさんもご存じのように、タミフル服用によって「異常行動」が起こるのではないかと指摘され、大きな問題となったことがあります。タミフルと異常行動の因果関係は明らかになっていませんが、これを受けて9~19歳の患者さんにはタミフルは第一選択薬からはずされています。

 タミフルは「10代の患者さんには原則として使用を差し控えること」という指示があり、「10歳以上の未成年は、合併症、既往歴などからハイリスク患者とされる場合を除いて原則として使用を中止すること」とされています。10代のお子さんにタミフルが処方されたときには薬剤師から「服用中はお子さんから眼を離さないでください」という注意があるはずです。

 そんなタミフルですが、なんと2016年12月16日から、生後2週目以降の赤ちゃんにも処方できるようになりました。

 タミフルに限らず、抗インフルエンザ薬の添付文書には「抗ウイルス薬の投与がインフルエンザ感染症のすべての患者に対して必須ではないことを踏まえ、患者の状態を十分観察した上で、使用の必要性を慎重に検討すること」と明記されています。

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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