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確定申告でミス、要介護者を抱える人に税務署が容赦なく多額追徴課税!

文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人
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確定申告でミス、要介護者を抱える人に税務署が容赦なく多額追徴課税!の画像1「Thinkstock」より

 元国税局職員、さんきゅう倉田です。好きな医療費は「レーシック手術」です。

 2月16日から確定申告の期間が始まりました。今回から医療費控除の手続きが緩和されたことをご存じでしょうか。今まで、1年分の医療費の領収証の金額を合計し、領収証はひとつの封筒に詰めて提出していましたが、領収証の提出は不要になりました。医療費の明細書を書いて提出するという、“イージー”な手続きになったのです。

 さて、どんなものが医療費控除の対象になるかは、国税庁がHPに列挙してくれていますが、数多ある医療関係の支払いすべてを網羅することはできません。今回は、医療費控除として手続きをして還付を受けたものの、数年後に否認され、つまり「だめだよ、医療費控除の対象じゃないよ」と処分を受けた事例を解説します。

 静岡県内に住むAさんは、居宅サービスの利用料を医療費控除の対象として所得税の確定申告を行いましたが、後日、税務署から呼び出しを受け、医療費控除の対象とならない旨の説明を受けました。Aさんは、税務署から修正申告の勧めがあったにもかかわらず、応じることなく、更正処分を受けてしまいました。

 所得税法<医療費控除>では、「自己又は自己と生計を一にする配偶者などの医療費を支払った場合において、医療費の金額の合計額が総所得金額の100分の5を超えるときは、超える部分の金額を控除する」とあります。

 多くの方が、「医療費が年間10万円を超えると医療費控除が受けられる」という認識を持っていると思いますが、会社員の方で年収310万円以下の方は、10万円を超えていなくとも医療費控除を受けられます。

 また、医療費控除の対象となる医療費は、「医師又は歯科医師による診療、医薬品の購入、これに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるもの」とされています。

 そして<医療費の範囲>は、「医師による診療、あん摩マッサージ指圧師、保健師、看護師による療養上の世話等の対価のうち、一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」とされています。

介護と医療は別物

 Aさんの医療費控除は、Aさん本人のものではなく配偶者であるBさんが要介護認定を受け、通所介護、福祉用具貸与の居宅サービスを受けた利用料30万円でした。医療費控除は、生計を一にする配偶者の医療費も控除可能です。

<通所介護>
「老人デイサービスセンターなどで提供される、入浴、排泄、食事などの介護、そのほかの日常生活を送るうえで必要となるサービス及び機能訓練」

<福祉用具貸与>
「車いす、特殊寝台、床ずれ予防用具、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、 移動用リフト、自動排泄処理装置などの福祉用具を貸し与えること」

 居宅サービスは医療費控除の対象となりますが、居宅サービスのうち、医療系サービスと併せて利用する訪問介護や訪問入浴介護、そして、通所介護の費用が対象とされています。

 提出された医療費控除の領収書を確認すると、Bさんの通所介護には、医療系サービスを伴った事実はなさそうで、福祉用具貸与と食事の支払いが含まれていました。そもそも、福祉用具貸与と食事は、医療費控除の対象となる居宅サービスにも該当しません。なんとなく、介護に関わるものは医療っぽいから、医療費控除になるだろうと申告したものと考えられます。

 Aさんから話を聞き、事実を確認すると、やはり医療系サービスを受けておらず、医療費控除の対象となりませんでした。居宅サービスを提供する社会福祉法人に反面調査をすることすらなく、否認されてしまいました。

 何が医療で、何が医療に該当しないかは、税務署の職員や税理士の先生でも間違うことのある複雑かつデリケートな分野です。よく調べずに適当な申告を行えば、税務調査が行われ、本来納めるべき税額に、加算税や延滞税を加えた金額を納める羽目になるかもしれません。面倒でも、よく調べ、確認してから控除を受けましょう。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)

さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人

さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人

大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。著書に『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)、『お金持ちがしない42のこと』(Kindle版)がある。
さんきゅう倉田公式ホームページ

Twitter:@thankyoukurata

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