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在日韓国人の団体、韓国の「日韓合意見直し」に異議

構成=長井雄一朗/ライター

民団と朝鮮総連が“和解”した「5・17事態」

――仮に「5・17事態」が再度発生した場合、民団はどう対応するのでしょうか。

 この質問には説明が必要でしょう。2006年2月に選挙で選ばれた団長が、同年5月17日に朝鮮総連本部に突然出向き、手を握り、なんの事前連絡もなく「5・17民団・総連共同声明」を発表しました。

 NHKをはじめとする各メディアが「歴史的和解」と大々的に報じましたが、次の日から「民団は朝鮮総連の側に立ち、日本社会の敵に回った」と冷ややかな目で見られるようになりました。「5・17事態」によって、我々の生活がものすごく脅かされたのです。事態収拾には4カ月かかり、当時の団長には辞めていただきました。

 もし、「5・17事態」のようなことが再び起きれば、当時と同じように事態収拾に立ち上がります。我々も日本社会のなかで貢献し、絆を築き、共に汗を流していかなければなりませんので。

――地方参政権獲得運動の再構築については。

 私は1989年から、この運動をやってきました。当時は在日コリアンの法的地位をめぐる「91年問題」があり、その政治的決着後は「地方参政権に力を注いでいく」と決めました。

 ただ、一部のマスコミに「地方だけでなく国政の参政権まで要求している」と誤解されていることは残念です。我々も地域住民として納税の義務を果たし、地域にさまざまなかたちで貢献しています。地方議会では地方自治体のお金の使われ方の話が多く、市議会や区議会レベルで議論されるのは生活に密着した話です。

 当然、我々もそこにコミットしていいと思います。ただし、段階があり、まずは地方投票権の付与ですが、これはすでに世界の趨勢です。我々がこの問題に真剣に取り組んでいるのは94年から。「平成の大合併」により今は少なくなりましたが、当時3300あまり存在した自治体のなかで1700が「地方参政権を付与すべし」という意見書を採択しているのです。これは、日本の憲政史上でも例のないことでした。

 ところが、当初は「相互主義」を盾に反対され、韓国が「外国人地方参政権付与」をクリアすると、今度は別の理屈で反対される。今、地方参政権問題は放置されている状況にあり、内部でも「難しいのでは」という意見もありますが、粘り強く運動を続けていくことがほかの問題解決にもつながると思っています。

 この問題は、74年から始まって3~5年くらいは大きく盛り上がりましたが、その世代の先輩方には亡くなられている方も多いです。今の現役世代の方は「地方参政権」という言葉は知っていても今日的な意義がわかっていないので、民団内で勉強会を実施するなどして再構築していきたいです。

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