ビジネスジャーナル > 医療ニュース > 歯科治療で死亡事故発生  > 2ページ目
NEW

歯科治療で死亡事故発生…意外に恐ろしい麻酔とデンタルショックの話

文=林晋哉/歯科医師

デンタルショック

 デンタルショックは歯科治療時に起こるショック症状で、次の4つが代表的なショックです。

(1)疼痛(とうつう)性ショック

 歯を治療するときの痛みが原因となって、反射的に脳の循環障害を生じた場合に起こる。気分が悪く、吐き気がするようになり、また顔色も悪くなる。特に、患者が恐怖心を抱いたり、不安な状態で精神的に緊張しているとショックを起こしやすい。口の中の注射、歯の切削、歯髄の摘出等の際、恐怖心を抱いていると、その痛みの刺激で三叉(さんさ)迷走神経反射が起き、血圧降下、脈拍減少など、脳貧血の症状を呈する。予防のためには、恐怖心を和らげるほか、無痛処置などの疼痛抑制法がとられる。

(2)局所麻酔剤中毒

 局所麻酔剤の使用量が多すぎるとき、血中の局所麻酔剤の濃度が上昇し、中枢神経や心臓を抑制するために生じる。しかし、歯科治療時の局所麻酔剤は量が少ないため、中毒を起こす可能性は低い。

(3)局所麻酔剤のアレルギー

 麻酔剤に対して過敏な人に、この麻酔剤を投与するとショック症状を起こす。防止するためには、あらかじめ局所麻酔剤の過敏反応のテストを行う。また、ラテックスアレルギーを持つ患者は歯科医のゴム手袋によって腫脹やじんましん、ぜんそく発作、アナフィラキシー反応などのアレルギー症状を起こすことがあり、注意が必要である。

(4)血管収縮剤と心疾患

 普通、局所麻酔剤には、麻酔効果の延長と急性中毒の防止のために血管収縮剤が含まれている。なかでも、もっとも多く用いられているのがアドレナリンである。しかし、アドレナリンは心臓を刺激するため、心疾患のある人には悪影響(心機能不全による肺水腫やショック)を及ぼすことがある。予防のためには、前もって心疾患の有無を確認することが必要である。[土谷尚之] (出典:「日本大百科全書(ニッポニカ)」<小学館>)

林晋哉/歯科医師

林晋哉/歯科医師

1962年東京生まれ、88年日本大学歯学部卒業、勤務医を経て94年林歯科を開業(歯科医療研究センターを併設)、2014年千代田区平河町に診療所を移転。「自分が受けたい歯科治療」を追求し実践しています。著書は『いい歯医者 悪い歯医者』(講談社+α文庫)、『子どもの歯並びと噛み合わせはこうして育てる』(祥伝社)、『歯医者の言いなりになるな! 正しい歯科治療とインプラントの危険性』(新書判) 、『歯科医は今日も、やりたい放題』(三五館)、『入れ歯になった歯医者が語る「体験的入れ歯論」: -あなたもいつか歯を失う』(パブフル)など多数。

林歯科・歯科医療研究センター

『入れ歯になった歯医者が語る「体験的入れ歯論」』 虫歯の痛み、歯周病の痛み、抜歯の切なさを知り、自ら入れ歯を使っている歯医者が語る”体験的入れ歯論” amazon_associate_logo.jpg

歯科治療で死亡事故発生…意外に恐ろしい麻酔とデンタルショックの話のページです。ビジネスジャーナルは、医療、, , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!