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ケースで見る!「働くハイスペック女子」への処方箋

過食症に陥った32歳女子、休職→復職直後にイキイキして彼氏ができた理由

文=矢島新子/産業医、山野美容芸術短期大学客員教授、ドクターズヘルスケア産業医事務所代表
過食症に陥った32歳女子、休職→復職直後にイキイキして彼氏ができた理由の画像1「Thinkstock」より

 キャリアと恋愛は、20代女性からの相談の2大双璧です。私は産業医であって、恋愛コンサルタントではないはずなのですが、心と体の不安を抱えた若者が相談にやってくれば、むげに断ることはいたしません。

「好きでもない仕事ばかりしていていいのか」
「同期はぼちぼち結婚し始めているのに、私だけがやりがいのない仕事に追われていて、これではなんのために生きているのかわからなくなる」
「このままでは一生ひとりで生きていくことになるのではないか」

 こんな漠然としたあせりを抱く女子からの相談が、最近とくに増えています。

突然の過食症

過食症に陥った32歳女子、休職→復職直後にイキイキして彼氏ができた理由の画像2『ハイスペック女子の憂鬱』(矢島新子/洋泉社)

 新卒で金融機関に勤務して9年目、32歳のK.S.さんの例を紹介します。

 すでに、同期入社の女子は本格的に付き合っている相手がいるか結婚を控えた人ばかり、という年齢になりました。そんななか、彼女は大学時代からずっとお付き合いしていた人と、就職後しばらくして別れてしまい、そのあとは特にそれらしい出会いもないままです。彼女は几帳面で仕事もできるがゆえに、新人の頃から難しい仕事を任せられることが多く、そのうえ人がいいのでついつい仕事を引き受けすぎてしまいます。平日は22時以降に退社する毎日です。

 数カ月前あたりから、彼女の食生活パターンに異変が起こりました。夕食が夜遅くなるため、会社でお菓子などつまみ食いをします。仕事が終わり、帰宅途中にコンビニエンスストアで夕食を買うのですが、仕事からの解放感もあってうっかり買いすぎてしまいます。お弁当を2個、菓子パン、アイスクリームなどなど。そんなに大量なのに、家に帰ってから食べ始めると止まらないのです。結局、全部食べてしまってから後悔します。

 このままでは体重が増えてしまうという恐怖が襲ってきて、のどの奥に指を入れて戻して安心します。大量に食べて嘔吐するのは、典型的な過食症の症状です。会社のイントラネットの広報欄に、「心身ともに健康上の不安がある場合は産業医に相談を!」と書いてあったのを見て、私のもとにやってきました。

 彼女と面談すると、「このままの生活では結婚することもなく、ずっと一人ぼっちかもしれない。会社の部署内には中年男性しかいないから出会いなんてない。そんなことを考えると怖くてたまらない。そんな気分のときに次々と口に食べ物を詰め込んでしまうんです」と涙を浮かべながら語り始めました。

 この方のように過食症までいかなくても、将来への不安や私生活の不安のために仕事に集中できないと訴える女性は、男性に比べるとずっとたくさんいます。

 その一方で、欲張りな女子社員のなかには、「男性医師と出会うための方法を教えてください」、さらには「先生、男性医師を紹介していただけませんか」と私に名刺を差し出す人もいます。それはそれなりに肉食系で大変結構なのですが、残念ながらお相手の紹介はできません。そう言ってお断りすると、「じゃあ逆に、男性医師と出会うためにはどんなパーティーに行けばいいのでしょうか」とさらに前のめり気味にかぶせてきたりもします。それは全然逆ではありませんし、私は恋愛コンサルタントではありません。

矢島新子/産業医

矢島新子/産業医

矢島新子
山野美容芸術短期大学客員教授。ドクターズヘルスケア産業医事務所代表。東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒。パリ第1大学大学院医療経済学修士、WHO健康都市プロジェクトコンサルタント、保健所勤務などを経て産業医事務所設立。10年にわたる東京女子医科大学附属女性生涯健康センターの女性外来、産業医として数千人の社員面談の経験より、働く女性のメンタルヘルスに詳しい。著書に『ハイスペック女子の憂鬱』(洋泉社新書)ほか。
株式会社ドクターズヘルスケア

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