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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

「長寿貧困」回避で大注目の「トンチン年金」は入るべき?高齢者も加入可、死ぬまで支給

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー

 したがって、年金が支給される前に「まだ長生きしそうだし、もう少し働けるので生活はなんとかなりそう」というのなら、繰下げ受給の手続きをすれば、年金額は1カ月繰り下げるごとに0.7%増える。70歳まで待てば、なんと42%もアップされた年金が一生受け取れる。

 わかりやすく具体的な金額でオトク度を考えてみよう。例えば、65歳からの年金額が100万円だと仮定すると、70歳から繰下げ受給した場合、142万円になる。もしも65歳から70歳までに受け取ったとすると年金総額は500万円だから、その分は約12年で回収できる(500万円÷42万円=11.9年≒約12年)。つまり、82歳まで生きるなら、繰下げ受給したほうがオトクというわけだ。

 平均寿命から考えると、男女いずれも繰下げ受給を選ぶほうが有利なはずだが、厚生労働省のデータによると、実際に繰下げ受給を選択する人はわずか1.4%にすぎない。一方、損をしてしまうのに、繰上げ受給を選択する人は、年々減少しているものの35.6%と、結構な割合だ(図表参照)。

 しくみの認知度の低さもあるだろうが、このあたりにも「もらえるものは確実に早くもらっておきたい」という日本人の気質がよく表れているような気がする。

 いずれにせよ、トンチン年金は社会的なニーズの高い分野だけに、今後も参入する保険会社が出てくる可能性は高い。さまざまなニーズに応じて、50歳未満からでも加入できたり、返戻率をアップさせたりといった、よりトンチン性を高めた商品が登場することを期待している。
(文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー)

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黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
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