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PTAが児童名簿を行事に利用は、一般的に個人情報保護法違反に当たらない理由

文=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士
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PTAが児童名簿を行事に利用は、一般的に個人情報保護法違反に当たらない理由の画像1「Getty Images」より

保護者からの苦情

 先日、小学生の子どもを持つ知人から、「学校とPTAが共同で開催する卒業生向けの『ホームカミングデー』の通知を小学校の卒業生名簿を使って発送したら、卒業生の親から個人情報の漏えいではないか、というクレームが来た。本当なのか?」といった相談がありました。どうやら昨今、PTAが在校生や卒業生の名簿を使用することが、大きな問題であるかのようにいわれています。先般、個人情報保護法が大きく改正されたところでもあり、以下、解説していきたいと思います。

個人情報の漏えいなのか

 まず、小学校や中学校は、当然ながら児童の氏名、住所、連絡先などを把握し、これをリスト化していることでしょう。毎年、各地方自治体の教育委員会は、その地方自治体が管理する住民票等から、小中学校に入学する年齢の子どもの自宅に、「あなたは、どこそこの公立学校に通ってください」といった「入学通知書」を発送します。同時に、小中学校に対しても「今年、そちらに入学する子どもの氏名などは、以下のとおりです」という手続がなされます。

 この結果、小中学校には「児童の氏名、住所、連絡先など」がリスト化された「個人情報データベース(児童名簿)」が保有されることになります。ここまでは、各種の法律に基づく手続なので、誰も文句を言う人はいないでしょう。

 ちなみに、当職は30年以上前、とある大学の附属小学校に通っていたのですが、当時の児童名簿には「児童の氏名、住所、連絡先など」のほかに、児童の顔写真、親の職業まで載っていました。今、考えるとオソロシイことだったのかもしれませんね。

 さて、PTAは、ときには単独で、ときには学校と共同で、親睦会や講習会などのイベントを開催しています。また、PTAは毎年、児童の親御さんのなかから役員を選ぶのですが、同じ人が重ならないように注意して選任しなければなりません。このようなとき、すなわちイベントの通知を児童や親御さんに発送したり、PTAの選任をしたりする際、どうしても小学校が持っている「個人情報データベース(児童名簿)」が必要となります。

 ここでやっかいなのは、このご時世、当職の時代とは異なり、学校は児童名簿を配布しないことが多いようですし、ましてPTAが独自に児童の情報を入手して名簿を作成することは、なかなか難しいようです。

 では、PTAが学校から「個人情報データベース(児童名簿)」をお借りしてイベントの通知を発送したり、PTAの役員選任をすることは問題なのでしょうか?

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