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『西郷どん』まったく話が進展せず、「西郷がバカにしか見えない」まま

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『西郷どん』公式サイトより

 鈴木亮平が主演を務めるNHK大河ドラマ『西郷どん』の第12回が25日に放送され、平均視聴率は前回より0.5ポイント減の14.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。

 今回は一言でいえば、篤姫(北川景子)の将軍家への輿入れがようやく決まったという内容。指南役の幾島(南野陽子)や西郷吉之助(鈴木)が根回しのために奔走する描写はあったものの、話としてはごくわずかにしか進んでいない。

 そんななか視聴者の関心を集めたのは、篤姫を演じる北川景子。いよいよ正式に輿入れが決まったという段になって、夫となる将軍家定(又吉直樹)が性的不能者であるとの衝撃的な事実を島津斉彬(渡辺謙)から聞かされる。家定に嫁ぐのは世継ぎを産むためではなく、真の目的は一橋慶喜(松田翔太)を次期将軍として指名するように働きかけることであった。

 篤姫は驚きの表情を浮かべて斉彬の話に聞き入っていたが、「私は不幸になっても構いません。お父上のためなら、篤は喜んで不幸になります」とけなげに答える。そして、目に涙を浮かべながら「お父上の娘になれただけで、篤は幸せでした」と斉彬に笑いかけるのだった。

 薩摩にいた頃の天真爛漫なじゃじゃ馬娘ぶりも魅力的だったが、すっかり薩摩ことばが取れ、武家の姫らしい上品なたたずまいに変貌した姿もまた美しい。将軍の世継ぎを産むという幸せを絶たれても、武家の女として潔く主命に従おうとする態度が悲しくもあり、心に迫る。

 ここで終わっておけばよかったのだが、この直後に安政の大地震が発生。今にも倒壊しようとする寝所に単身駆けつけた吉之助に、篤姫は思わず「公方様もお父上もいない遠か国へ、このまま私を連れて逃げておくれ」と泣き言をつぶやいてしまう。

 斉彬の前ではあんなに気丈に振る舞っていたのに、やっぱり心の中では将軍家に嫁ぐのが嫌だったのかと、がっかりである。吉之助も「わかいもした(わかりました)」とあっさり応じる。「そん言葉が聞きたかった」と泣きながら笑顔を浮かべる篤姫。だが、倒れた篤姫を抱き起そうと吉之助が手を差し伸べると、スッと笑顔が消えて悲しげな顔つきになり、「もうよかとじゃ」とつぶやく。その後はつきものが落ちたように姫としての凛々しい振る舞いに戻るのだった。

 好きな人との心の結びつきを支えにして、好きではない人のもとに嫁いでいく――というベタなストーリー。ドラマとしてはよくある展開だが、吉之助を試すようなことを言う篤姫には幻滅である。主君の命を差し置いて姫の口車にホイホイ乗る吉之助もどうかと思う。江戸に出てきて経験を積んでいるように見えるが、大局的な視点を持たずに目の前の人を助けることだけに集中してしまう性格は薩摩にいた頃から一歩も進歩していない。

 今のところは視聴率も14~15%台で安定しているが、視聴者の間では「西郷がバカにしか見えない」という批判がずっとくすぶっている。そしておそらく、その見方は正しい。後々になって西郷を覚醒させるための伏線として、若き日の彼を意図的にバカ正直で情にもろく、実直すぎる男として描いているだろうことは想像に難くない。

 だが、果たしていつまで「バカ」のままなのだろうか。図体ばかり大きい“でくのぼう”が斉彬や篤姫の周りをうろちょろしているだけの描写が続くようでは、さすがに厳しい。いい加減、少しは成長してほしいが、実はいつまでたっても覚醒せず「バカ正直のお人好し」のまま、西南戦争で死ぬまでなんだかんだすべてを乗り切ったという新解釈であれば、それはそれでおもしろい。おそらく、今後待ち受けている、島での幽閉が転換点になると思われるが、話の進み具合から見て、それもまだまだ先になりそうだ。

 しばらくは、鈴木演じる西郷吉之助の「おバカさ加減」を温かい目で見守る回が続きそうだ。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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