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イオン、「無人店舗」構想始動…アマゾンに先駆け、小売業の発想を覆す可能性

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 ディープブルーが無人店舗運営を手掛けるセグメントは、コンビニなどの小規模の店舗を対象にしている。同社の資料を見ると、コンビニよりも規模の小さい、駅中のキオスク程度のものもある。さらには、自動販売機や飲料の冷蔵庫程度の規模の店舗もある。自動販売機がコンビニ化したという表現のほうがしっくりくるかもしれない。

 この技術にイオンが注目したことは、興味深い。今後の経営戦略を考えた際、いくつかのインプリケーションが得られる。まず思い浮かぶのは、小型店舗の効率化を通した出店の強化だ。従来、イオンはショッピングモール、総合スーパー(GMS)など、比較的、売り場面積の大きい店舗の運営を軸にビジネスを展開してきた。これに加え、近年ではドラッグストアや「まいばすけっと」など小型の店舗も増えている。特に、ドラッグストアにはコンビニの機能が備わるなど、業態の垣根はなくなりつつあると考えられる。そこに省人化技術を導入することができれば、店舗運営の効率化だけでなく、地方での店舗運営など経営の選択肢が広がるだろう。

無人化された移動店舗への期待

 次に考えられるのが、テクノロジーを用いた新しいビジネス形態の創出だ。この点をイオンがどう考えているかは定かではないが、さまざまな発展性が考えられる。ひとつの可能性として挙げられるのが、“移動店舗”の開発だ。

 わたしたちが買い物をする場合、店舗に行くことが当たり前だ。それに比べて、マンションの前に店舗が来る、駅の前の広場がスーパーになるという状況が実現すればどうだろう。従来よりも便利であることは間違いない。

 イオンが合弁を組むディープブルーテクノロジーの技術と、コネクテッドカーのコンセプトを組み合わせて考えると、オフライン、オンラインにかかわらず移動式の無人店舗が実現する可能性がある。そのコンセプトが実現すれば、日用品などの買い物はより便利になるだろう。その消費体験は、イオンで買い物をしたいという消費者の心理を高めることにつながる。新しい発想を実現し、これまでにはない体験を消費者に提供することができれば、小売業界全体でイオンの競争力が高まることが想定される。

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