ビジネスジャーナル > 企業ニュース > VAIO、とても好調とはいえぬ実情  > 3ページ目
NEW

最近やたらと「持てはやされる」VAIOとaiwa、とても「好調」とはいえない実情

文=A4studio
【この記事のキーワード】, ,

 続いて、VAIOについて聞いた。

「まず、企業規模によって必要な売上が異なるということを念頭に置いてもらいたいのです。ソニーほどの規模の企業となると、相当な売上や販売台数をあげないとソニーのパソコン事業として成り立ちません。ソニー時代の全盛期に年間約860万台を販売していたVAIOブランドですが、ソニーのパソコン事業として相応の台数を売ろうとすると利益が出せず、それどころか赤字幅が大きくなってしまう。ただ、ソニーはVAIOを独立させて、企業の規模を縮小すればビジネスとして成功する可能性はあると考え、VAIOを切り離したのです。つまりソニーとしては、かかわってきた社員や製品のファンを失いたくないという思惑もあり、VAIOを完全に終わらせない方法として、別企業として独立させたのでしょう」(同)

 ソニー内の事業としては成立しないレベルまで企業規模を縮小させ、経営的に小回りが利くようにすればビジネスとして成り立つという算段があったということなのだろうか。

「独立後のVAIOにしてみれば、規模は小さくなるので企業としてできる範囲は狭まるわけです。ソニー時代のようにバリエーション豊富にパソコンをつくることもできなくなるでしょうし、新しい製品を開発する際も規模の大きいライバル企業に比べて不利になると考えられます。ですが、ブランド価値を高めて売上を伸ばすことができれば、そういった不利な点をカバーすることも可能。規模が大きいとそれだけマーケティングにも労力がかかりますし、多額の資金も必要になるので、かえって利益率が下がることもままあります。これは一般論でもありますが、必ずしも企業の規模が小さくなったからといって、すべてが不利になるというわけではないのです」(同)

絶好調のソニー、切り離しの決断は正しかった

 では、ソニーがaiwaやVAIOを切り離したことは正解なのだろうか。

「少なくとも現在のソニーは空前の利益をあげていますので、正解か不正解かのどちらかに決めるとするならば、正解だったのではないでしょうか。もちろんソニーの業績が横ばいや下落していたり、あるいはaiwaやVAIOがものすごい利益を上げているというのであれば話は変わりますが、現状はそのどちらでもないのは明らかです。

 ソニーがaiwaとVAIOを切り離したことを後悔しているということは、まずないと思います。たとえば、ソニー君という男性がいたとして、彼は今、仕事もプライベートもすこぶる順調だとします。そんな彼が昔フったカノジョであるVAIOさんやaiwaさんという女性が、他の誰と結婚したとしても、ソニー君は後悔することはないですよね。つまり、ソニーにとってVAIOやaiwaは、今や他人なのです。

 かりにaiwaやVAIOが切り離されていなかったとしても、今の経営レベルでは、どちらにしてもソニーグループのなかで生き残るのは難しかっただろうと考えられます。結果的に切り離した後のソニーの経営は上向きになり、プラスに転じているのも揺るぎない事実。それがすべての答えでしょう」(同)

 いずれにしても、現在のソニーの好調を考えれば、VAIOとaiwaを切り離したという決断は正しかったといえるだろう。
(文=A4studio)

最近やたらと「持てはやされる」VAIOとaiwa、とても「好調」とはいえない実情のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!