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乗客に悪態や肉体関係迫る人も…一部の「危険なタクシー運転手」がクビにならない裏事情

文=後藤豊/ライター兼タクシードライバー
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 タレントの菊池桃子さんにつきまとい行為をしたとして、元タクシー運転手の飯塚博光容疑者がストーカー規制法違反の疑いで現行犯逮捕された。

 昨秋、飯塚容疑者は菊池さんを乗客として乗せた際に自宅の場所を把握し、行き先を告げる声や降車時のドアサービス(運転手が降りて後部ドアを開けること)で本人であることを確認し、その後ストーカー行為に及んだという。

 菊池さんのブログによると、飯塚容疑者は所属事務所に交際を迫るメールを執拗に送り続け、自宅にも押しかけていたという。最近、勤務していた日本交通を退職し、「ますます行動が読めず危険な状況に発展」し逮捕に至った。

 日本交通グループの現役運転手は、次のように嘆く。

「まったく情けない話だよ、いいかげんにしてほしいよ。うちの会社は、4年前にも強姦事件を起こしているんだ」

 2014年11月8日の午前3時ごろ、新宿区歌舞伎町で乗車した30代の女性客が泥酔して寝込んだところを、運転手が襲うという事件があった。途中で気がついた女性客が交番に駆け込み、運転手は逮捕。数日後、日本交通は「弊社元社員の逮捕に関するお詫び」を発表している【※1】。

「菊池さんの事件も強姦事件も、グループ会社(日本交通グループ)ではなく本体(日本交通直属の営業所)の社員なんだけど、問題を起こすのも本体が多く、彼らは緊張感が足りないよ。仮にストーキングや強姦をグループ会社の人間がやったら、日本交通から切られるよ。菊池さんの事件では運行管理者も飛ばされたらしいけど、管理者は何もしてないのだから、ちょっとかわいそうだよ。

 また、容疑者の肩書は『元』運転手となっているけど、ほんの1カ月前まではうちの運転手としてストーキングをしていたわけだから、『元』と言ってもね……。今朝、営業所を出るとき、所長から『この件で客から話しかけられたら、知らないと言え』と言われたよ」(日本交通グループのタクシー運転手)

 今回の事件は身内の恥でもあり、箝口令が敷かれるのも仕方ないだろう。

「社会の受け皿」タクシー業界の内情

 それはさておき、タクシー運転手の中には今回の容疑者のようなとんでもない輩が潜んでいるのも事実である。なぜなら、タクシー業界は雇用のセーフティネットのような側面もあるからだ。

 筆者も現役運転手なのでよくわかるが、タクシー会社(特に地方)の運転手を見ていると、「とても普通の企業には勤められないだろうな」と思わざるを得ないような人物もいる。

 たとえば、深夜にタクシー乗り場で近距離客を乗せると「“ゴミ”は“流し”を拾ってくれない?」などと乗客に文句を言う運転手がいるのだ。「ゴミ」とは、売り上げが少ない近距離客のこと。「流し」は、タクシー乗り場などで待たずに営業エリアを流して乗客を拾うスタイルのことで、空車時間を少なくするためのテクニックのひとつだ。そのため、近距離客でも痛手になりにくいわけだが、「近距離なら、自分で手をあげてタクシーを拾ってくれ」というわけだ。

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