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ライフネット生命、「時代の寵児」の苦悩…好調の「就業不能保険付きがん保険」で飛躍図る

文=編集部

収益確保狙い、がん保険に参入

 ライフネット生命は17年8月から「がん保険」の販売を始めた。これは「岩瀬氏の転向」と皮肉られた。というのも、岩瀬氏は副社長時代の12年に出した著書『がん保険のカラクリ』(文藝春秋)のなかで、既存の保険会社が扱うがん保険が補償する内容について痛烈に批判していたからだ。ところが、収益を上げるために、がん保険を扱うことにした。

 そのがん保険を担当したのが森氏だ。同氏は京都大学法学部を卒業後、07年にゴールドマン・サックス証券に入社。資金調達やM&A(合併・買収)が専門で、主要顧客が保険会社だった。12年、ライフネット生命に入社後、29歳で企画部長に就任。経営戦略本部長を経て17年4月、がん保険へ参入するため営業本部長に就任。同年6月、取締役に昇進した。

 がん保険はすでに過当競争状態だったため、新規参入するには特徴を出さねばならない。そこでライフネット生命は就業不能保険を10年に売り出した。同保険は長期にわたって入院したり自宅で療養が必要になって就業できなくなった場合、所定の給付金が支払われる。つまり、働けなくなった人に対して給与を補填する保険だ。

 就業不能保険の支払い理由の約6割は、がんと判明。ライフネット生命はここに目をつけ、仕事ができなくなった場合に収入を補償する就業不能保険をセットにした、がん保険の販売を開始した。がん保険をテコに収益を引き上げることを期待され、森氏は34歳の若さで社長に抜擢された。

 18年3月期の売上高に当たる経常収益は前期比8.9%増の110億円の見込み。就業不能保険とセットのがん保険の販売が好調だ。それでも当期純損益は3億円の赤字の見込みで、開業以来、赤字経営から抜け出せないでいる。19年3月期での黒字転換が、新社長が達成しなければならない喫緊の課題だ。

 ネット販売の草分けであるライフネット生命は、そのビジネスモデルの転換が必要になっているのかもしれない。

 一方で「社長交代を株式市場が好感している」(アナリスト)との見方が浮上している。マザーズ市場に上場しているライフネット生命の株価は4月9日、一時566円(61円高)と年初来の高値を更新した。社長交代発表前は400円前後だった株価が500円超で推移している。

「岩瀬氏は正直な物言いで、たびたびネット上で炎上していた。森氏はそういうことはないだろうとみられている」(前出アナリスト)

 3月期決算の発表は5月15日の予想。中期経営計画で目標に掲げる19年3月期の黒字化について、新社長がどのような発言をするかに関心が集まっている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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