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放送法改正、狙いは「安倍首相賛美」番組増加か…テレビ局から電波と政治的公平を奪う

文=深笛義也/ライター
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放送法の主眼は「国による妨害を防ぐ」

 自分を賛辞してくれる放送局が欲しいというのは、一国の首相としてはあまりにも子どもじみた発想に思えるが、実際にトランプ大統領はシンクレアを手にした。安倍首相は同じことをしたいのだろうか。

 だが放送法第4条撤廃論に対して、安倍政権寄りと見られている読売新聞も、「番組の劣化と信頼失墜を招く」と社説で反対論を強く打ち出した。

「読売新聞にしても日本テレビにしても、別に安倍首相の手先ではないわけですから。安倍首相のほうは手先だと思ってるのかもしれないけど、実は違う。私も日本テレビにいた人間です。確かに『右か? 左か?』と言われれば右寄りといえるかもしれないけど、報道機関としての原則はちゃんとあります。報道ではそれぞれスタッフの皆さんが矜持を持って、『これがニュースだ』と考えることを取材して放送しているわけです。

 だから政府から『今のAbemaTVみたいなものを、どんどん増やすんだ』『そういう改革をするから、日本テレビもその一員になってくれ』というようなことを仮に言われたら、これまでの放送を築いてきた会社にもし自分がいたら怒りますよ。今回の問題に関して、ネットや新聞では議論されているけど、自分たちのことなのに放送はまったく取り上げないというのは、とても不可思議な気がします」

 撤廃ということで放送法第4条が注目されたが、第3条には「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と記され、放送番組編成の自由が謳われている。

「そもそも放送法というのは、国によってタガがはめられているというよりも、国による妨害を防ぐというのが主眼なんです。権力の監視をするのがメディアの役割だということが、この国にはなかなか根付いていないですが、そういう考え方で放送局を運営していきましょうという考えが、もともとあるわけです。そのあたりが最近、不透明になってきていて、放送法も撤廃しちゃえっていうのは、相当に乱暴な話になっていますよ」

 安倍首相の放送法撤廃という目論見で、はしなくもメディアは自分たちの使命を噛みしめることになったのだろうか。
(文=深笛義也/ライター)

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