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ライザップ、利益の「実態」…赤字企業買い漁りで膨らむリスク

文=編集部

M&Aで急成長した秀和は跡形もなく消えた

 M&Aは、企業の持続的な成長を保証するものではない。野放図なM&Aが仇となり消滅した企業は少なくない。

 その代表例は不動産会社の秀和だ。オーナーの小林茂社長は「米国買い」の先鞭をつけた。1986年8月、ロサンゼルス最大のオフィスビル「アーコプラザ」(52階建てのビル2棟)を買収した。日本円に換算して約960億円のビッグな買い物だったが、小林氏は現金で支払った。「本当に欲しい物件ならば、一切値切らない」と豪語した。さらに1カ月後の9月、今度はニューヨーク・マンハッタンの中心街にあるABC本社ビル(40階建て)を約270億円で手に入れた。

 気前のよい買い方で、米国ビジネス界の有名人になった小林氏につけられた呼び名は「ショーグン」。当時、全米でヒットしていたテレビ映画『SHOGUN』に由来する。米国を買うためにショーグンが上陸してきたと言われた。

 小林氏はこの頃、国内では新興仕手筋として兜町に登場。流通再編を旗印に流通株を買い占め、「中堅スーパー大合同による1兆円企業設立プラン」を提唱した。

 秀和が買い占めた流通企業は、忠実屋(発行済み株式の33.9%)、伊勢丹(同25.3%)、いなげや(同25.2%)、マルエツ(同24.9%)、長崎屋(同17.6%)、松坂屋(同15.7%)、イズミヤ(同6.6%)、東京スタイル(同11.0%)などに及んだ。株数は、いずれもピーク時のもの。

 秀和に買い占められた企業のなかで、もっとも貧乏くじを引いたのは伊勢丹創業家の4代目、小菅国安社長だろう。秀和が筆頭株主になっても小林氏に会おうとせず、ひどく怒らせた。その結果1993年5月、小菅氏は社長辞任に追い込まれた。実質的には解任で、創業以来107年に及ぶ小菅家による伊勢丹支配は終止符を打った。

 90年、不動産融資の総量規制が実施されたことで不動産バブルが崩壊した。当時、借入金が1兆円あった秀和の資金繰りが急激に悪化。

 ダイエーの東京本社が入居していた浜松町オフィスセンタービルは秀和が所有していた。中内功社長は忠実屋、マルエツなど秀和が買い占めた流通株を担保に秀和へ1100億円を融資した。返済期日になっても金が返済されなかったため、中内氏は担保権を行使して忠実屋とマルエツの株式を手に入れた。ダイエーは労せずして、忠実屋とマルエツを傘下に収めたのである。

 結局、秀和は経営に行き詰まり05年、米投資銀行のモルガン・スタンレーに買収され、消滅した。

 RIZAPホールディングスの野放図なM&A戦略は、イケイケドンドンの強気の姿勢でバブル時代を駆け抜けていった秀和と二重写しとなる。
(文=編集部)

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