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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

米朝首脳会談後、米軍が北朝鮮へ軍事攻撃の可能性も…金正恩が恐れる「人民軍クーデター」

文=相馬勝/ジャーナリスト

追い詰められる金正恩

 一方、金委員長は4月13日から18日まで平壌に滞在した宋濤・中国共産党対外連絡部長(閣僚級)と2度も夕食を共にして会談し、米朝首脳会談でトランプ大統領がどう出るかなどをしつこく質問していたという。

 これに先立ち、金委員長は4月1日、秘密訪朝したポンペオ米中央情報局(CIA)長官と会談した際、「トランプ大統領は『成果がなければ席を立つ』と語っている」などと告げられており、場合によっては、会談が決裂し、米軍の軍事行動が現実化するかもしれないとの不安を抱えているとみられる。このため、宋部長ら中国側の対応を確認する必要があったといえよう。

 宋部長が帰国した2日後の4月20日、金委員長は朝鮮労働党の中央委員会総会で、核実験とミサイル発射実験の中止を宣言していることから、中国側の入れ知恵で、米朝首脳会談を控えて、米側への印象を良くしようという態度の表れとの見方もできる。

 しかし、トランプ大統領は核実験やミサイル発射実験の停止を求めているのではなく、それより数ランクも上の「北朝鮮の非核化」を求めているのだが、金委員長がせっかく手に入れた核兵器そのものを廃棄するとは考えにくい。

 その場合、「先軍政治」の放棄と同じ意味を持つだけに、北朝鮮人民軍幹部は弱腰姿勢の金委員長を見限り、クーデターが勃発することも予想されるだけに、米朝首脳会談に臨む金委員長はいまや針のむしろに座っているような心境であるのは間違いない。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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