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アベノミクス、3大リスク同時発生の可能性…安倍内閣総辞職・米国のイラン攻撃・債券下落

文=斎藤満/エコノミスト
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 米国長期金利の動きには、決算期前で動きにくい日本の機関投資家を狙った相場崩しや、長短金利差のフラット化を狙ったスプレッド売買で攪乱される面もあり、短期的にはブレが大きくなる面がある。しかし、これらの短期攪乱要因を除いても、昨今の米国では長期金利を押し上げやすい力が強まっている。

 つまり、好調を通り過ぎて「過熱懸念の米国経済」が意識されるようになった。そこには、さらなる金利上昇のエネルギーが備わっている。主犯は、供給制約が問題になる米国経済の下で大型減税などの財政需要を追加したトランプ大統領だ。

 FRBは、従来の「中立水準」(政策金利で3%弱)まで金利を戻す正常化にとどまらず、これを超えた、より引き締め的な水準までの利上げを視野に入れ始めた。そして、昨年10月以降、段階的にスピードアップするかたちでFRBの保有債券を圧縮している。これは「量的引き締め」で、3カ月ごとに売却規模を月に100億ドルずつ大きくすることとしている。現在は月に300億ドルの債券売却を行い、金利を押し上げている。

 前述のように、実体経済からすれば4%以上でもいい米国金利を低く抑えていたFRBが、その蓋を外してきているため、金利はまだ上昇するのが自然だ。そうなると、金利裁定を通じて米国株にも重石となるほか、米国などの金融緩和の下で債務を拡大してきた新興国が打撃を受け、これから通貨安、株安、金利高により、債務危機に陥るところが出てくる懸念がある。

イラン核合意のゆくえ

 次は、中東上空に雷雲が発生した。トランプ大統領は5月12日までにイランへの経済制裁を再発動するかどうかを決断する。再発動すれば、国連常任理事国にドイツを加えた6カ国によるイラン核合意から米国が離脱することになる。先にフランスのエマニュエル・マクロン大統領が訪米してトランプ大統領を説得したが、その気持ちは変わらなかったようだ。

 トランプ政権は新たにマイク・ポンペオ国務長官、ジョン・ボルトン大統領補佐官を得て、対イラン強硬路線を採る体制だ。北朝鮮には対話型交渉を進める一方で、イランに対しては盟友イスラエルの防衛の観点から、攻撃するプランを持っている。先のシリア攻撃は、背後にいるイランやロシアをあぶり出し、イラン攻撃への前哨戦と位置づける見方もある。

 米国・イスラエルによるイラン攻撃の可能性が浮上すると、原油価格の一段高、中東での地政学リスクを意識した株売り、リスク・オフの空気が広がる可能性がある。これは、間もなく判明する。

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