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「女性活用」推進の内実…低賃金&長時間労働で疲弊する若い女性たち

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「gettyimages」より
女性が輝く社会」は政府の重要政策のひとつだ。これは簡単にいうと、働く女性を増やし、同時に男性優位の雇用環境を変え、子育て家庭への支援を充実させていくというもので、成長戦略のひとつに位置付けられている。


 ところが、実は日本では今、この政府方針の逆をいくかのように、専業主婦を希望する若い女性が増えている。2016年の博報堂生活総合研究所の調査によると、「(今後は)専業主婦になりたい」と答えた女性の割合は28.4%で、前回(14年)より0.2ポイント、初回(1998年)からは1.5ポイント上昇している。なかでも20代は32.3%で最高だった。

 政府は女性に「働け」と言うが、当の女性たちは働きたくない。まさに笛吹けども踊らずといったところだが、このいびつな状況はなぜ生まれたのか。

バリキャリ志向の女性は減っている?


 その一番の原因は、思い描く未来と現実の間に横たわるギャップだ。

「今の日本で専業主婦を希望する女性が増えているのは、ある意味で自然なことです」と話すのは、社会政策に詳しい映画評論家の前田有一氏である。

「政府は、政策の建前上『すべての女性が輝く』とうたっていますが、本当の目的は、少子高齢化が進む日本で経済成長を維持するために女性の労働力を活用すること。しかも、女性を“安い労働力”として使おうとしている。その本音が透けて見えるため、逆に専業主婦希望の女性が増えているとも考えられます」(前田氏)

 前田氏によると、むしろ女性の社会進出が進んでいなかった一昔前の日本のほうが、いわゆる“バリキャリ”志向の女性が多かったという。

「私は団塊ジュニア世代ですが、我々が学生だった当時の日本は、アメリカから新自由主義の波が押し寄せつつある時期でした。欧米型の自由競争が導入されるなかで、女性たちの間に芽生えたのが『女性も社会に出れば男性並みにお金が得られる』という理想です。これが、バリバリのキャリアを持つ女性、バリキャリへの憧れにつながったのではないかと思います」(同)

 実際、97年には共働き世帯が片働き世帯を上回り、2001年に誕生した小泉純一郎政権は「20年までに指導的地位に占める女性の割合を30%以上」との成長戦略を掲げた。この路線を引き継いだのが、現在の安倍晋三政権だ。

 ところが、それによって増えたのはバリキャリではなかった。実際に増えたのは、いくら働いても給料が上がらず過酷な労働環境に疲弊する若い女性たちである。

「小泉改革時から、経団連は一貫して人件費の削減を求め続けてきました。それが女性の社会進出と結び付き、結果として多くの女性が安い賃金で搾取されることになった。働く女性は確かに増えましたが、今の日本の労働環境に幻滅している人も多いのではないでしょうか」(同)

 近年、過酷な労働環境は社会問題となっている。電通に入社して1年目の高橋まつりさんの過労自殺が大きな問題となり、働きながら子どもを育てることの過酷さを表した「ワンオペ育児」という言葉は流行語にもなった。

 こうした状況を見て、それより下の世代の女性たちが「社会に出てバリバリ働きたい」と考えるだろうか。

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