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資生堂、空前の繁栄…客に異例の購入制限措置

文=編集部
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花王はインバウンドに乗れず「一人負け」

 化粧品業界首位の資生堂の17年12月期の連結決算の売上高は前期比18.2%増の1兆50億円、営業利益は2.2倍の804億円。売上高は1兆円の大台を初めて超え、営業利益は過去最高を記録した。

 大きく伸びたのはインバウンド売り上げだ。585億円で前期比70%も増えた。インバウンドは国内売り上げの13.6%を占めた。

 中国人観光客に「SHISEIDO」ブランドなどプレステージ(高価格帯)商品を購入してもらい、帰国後消費につなげる戦略が功を奏した。訪日中国人の約半数が、帰国後も資生堂の商品を購入するという。

 あまりの人気ぶりに資生堂は今年2月頃から、銀座の百貨店などで「SHISEIDO」ブランドの美容液の購入を1日当たり、1人1個に制限した。店頭に営利目的の購入を禁じる日中英3カ国語の掲示を出した。

 化粧品業界3位のコーセーの18年3月期の連結決算の売上高は前期比12.5%増の3000億円、営業利益は17.5%増の460億円の見込み。営業利益は過去最高となる見通しだ。

 コーセーの第3四半期(2017年4月~12月期)のインバウンド売り上げは143億円。前年同期の105億円に比べて36%増え、国内売り上げの8.4%を占めた。

 4位のポーラ・オルビス・ホールディングスの17年12月期の連結決算は、売上高が前期比11.8%増の2443億円、営業利益は44.9%増の388億円。営業利益は過去最高だった。

 ポーラの連結売上高に占めるインバウンド比率は、15年が5%、16年が6%、17年が7%となった。パーセントから推計すると、インバウンド売り上げは170億円程度となる。基幹ブランド「POLA」のインバウンド比率は12%だという。

 化粧品専業メーカー各社がインバウンド消費の恩恵を受けて業績が絶好調であるのに対して、化粧品業界2位の花王は「一人負け」の様相だ。

 花王の17年12月期の連結決算(国際会計基準)の売上高は前期比2.2%増の1兆4894億円。営業利益は10.4%増の2047億円と初の2000億円の大台に乗せた。中国人の爆買いの先駆けとなった紙おむつ「メリーズ」の人気が高く、ヒューマンヘルスケア事業の中国での販売が業績を牽引した。

 だが、化粧品事業は花王のアキレス腱となっている。化粧品の売上高は1979億円。前年の2153億円から8.1%減。日本製化粧品のインバウンド人気を生かしきれていない。

 子会社のカネボウ化粧品と、花王本体の化粧品事業が一体運営ができていないことが化粧品低迷の原因と指摘されてきた。そこで今年1月、花王とカネボウ化粧品の販社を統合。カネボウ化粧品の買収から12年たって、ようやくひとつの組織となった。

 インバウンドをめぐる化粧品業界の明暗は鮮明になっている。
(文=編集部)

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