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ヤマト、経営陣の英断で増益…「物流なくしてアマゾンらネット企業の成長なし」を立証

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適正な価格設定の重要性


 一般的に、企業の経営者は、需要は取り込めるだけ取り込みたいだろう。そうすれば、少なくとも当面は収益を増加させ、成長を維持することができる。多くの経営者にとって、それが偽らざる本音であるはずだ。多少、現場に影響が及んだとしても、現場の創意工夫が問題を解決することを期待して、需要取り込みを優先しようとする考えが高まることは、ある意味、仕方がないようにも思える。

 一方、1990年代初頭に株式と不動産のバブルが崩壊して以降、わが国ではデフレ経済が深刻化し、景気が低迷した。デフレは、需要低迷の裏返しだ。その分、価格を据え置き、消費者の支持が離れることを防ごうとする経営者の心理は強くなりやすかった。同時に、価格は維持しつつ、製品やサービスの質を高め、さらなる満足度を提供しようとする発想もあったはずだ。

 海外の投資家からみた場合、こうした発想は“過剰”に見えることが多い。かつて、ある米国の知人アナリストは、「ヤマトはフリー(ただ)で再配達を行っている。再配達を行う分、ドライバーの作業は増える。相応の対価を求めるべきだ。それがないのであれば、同社のサービスは過剰だ」と指摘していた。

 昨年の料金引き上げは、そうした発想が増える契機となった。重要なことは、人々から必要とされるビジネスは、価格が引き上げられても競争力を失う可能性が低いということだ。価格を引き上げることができれば、収益は増加する。それが企業の成長に欠かせない。価格を引き上げた結果、消費者の支持を失う企業は競争力を低下させる。それが価格原理に基づく資源の効率的な再配分を支える。

 ヤマトの事例を見ると、サービスの競争力、他社との差別要因を見極めたうえで、単価を引き上げることの意義は大きい。価格を引き上げた上で、サービスの利便性が高まるのであれば、人々はその企業の経営を支持するだろう。そうした取り組みがわが国全体で増えれば、景気回復への実感も高まるはずだ。イノベーションを進め、より良いモノ・サービスを、従来を上回る価格で提供しようとする経営が求められる。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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