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片田珠美「精神科女医のたわごと」

暴言をやめない麻生太郎氏、他人への想像力が欠如している可能性…強い特権意識も影響か

文=片田珠美/精神科医

 しかし、何でも許容される環境で育った麻生氏は、そんなことをする必要などなかったはずだ。必要がなければ、想像力は育たない。だから、(2)想像力の欠如が認められるのは当然で、自分の発言がセクハラ被害者をどれほど傷つけるかも、公文書への信頼性がどれほど失われるかも想像できない。もちろん、大衆の反感と怒りをどれほどかき立てるかも、批判をどれほど浴びるかも想像できない。いや、そもそも想像してみようとさえしない。

 そのうえ、麻生氏には(3)自覚の欠如も認められる。セクハラも公文書改ざんも、自らがトップを務める財務省で起こった不祥事であるにもかかわらず、真摯に反省する姿勢を見せない。トップとして責任を取るつもりもないようだ。これは、(1)強い特権意識ゆえに、自分だけは何でも許されると思い込んでいるからだろう。

偉大な祖父への同一化

 麻生氏が問題発言を繰り返す一因として見逃せないのが、祖父の吉田茂への同一化である。同一化とは、「あの人のようになりたい」と願い、その言動を模倣することであり、われわれは知らず知らずのうちに誰かへの同一化を繰り返している。たとえば、仕事ができて、人望もある上司や先輩がいたら、仕草や話し方をまねることがあるが、これも同一化の一つにほかならない。

 誰に同一化するかというのは、人格形成において非常に重要だ。同一化の対象が、麻生氏の場合は祖父の吉田茂であるように見える。吉田茂は、国会で野党の質問者に対して「バカヤロー」と発言したため、野党に懲罰動議を提出され、衆院が解散したほど(「バカヤロー解散」)、暴言で有名だった。

 もしかしたら、麻生氏は偉大な祖父に同一化しようとするあまり、暴言を吐くことが祖父に近づく道だと思い込んでいるのかもしれない。もっとも、政治家として大きな実績を残した祖父と比べると、少なくとも私の知る限り、麻生氏にはこれといった実績がなさそうだ。だからこそ、よけいに暴言が目立つのかもしれないが、われわれ国民にとっては耳障りである。
(文=片田珠美/精神科医)

片田珠美/精神科医

片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

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