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東京都、議員の人件費領収書すべて黒塗りで公開…情報公開請求を却下→提訴に都は徹底抗戦

文=三宅勝久/ジャーナリスト
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東京都、議員の人件費領収書すべて黒塗りで公開…情報公開請求を却下→提訴に都は徹底抗戦の画像2情報公開請求を違法に却下した通知(右)と、提訴後に訂正した部分開示通知(左)

 人件費の領収書の金額や宛名を黒塗りにしている理由は「個人情報だから」である。しかし、それでいいのかは疑問だ。いうまでもなく政務活動費は公金である。しかも使途が限定されている。政治的活動や私的な用途には使えない。法律で説明義務が課せられており、説明のために「公開」された領収書である。その金額を消すなど常識ではありえない。都民はとことんバカにされている。
 
 人件費の領収書の黒塗り部分を公開させるため、17年9月12日、筆者は都議会議長に対して情報公開請求を行った。そうすれば、一部非開示の決定を出してくるだろう。それに対して、不服申し立てや裁判で「非開示は不当だ」と争えばよい。そう考えたのだ。情報公開は異議申し立ての手続きが整備された制度である。

 請求から2週間後の25日付で返事がきた。封を開けて驚いた。「却下」とあった。却下とはいわば門前払いである。これでは「黒塗りは不当だ」と異議の訴えようがない。

 却下理由はこうだ。

<情報公開条例に、ほかの法令で閲覧制度がある文書は請求対象にしないとある。政務活動費の領収書は政務活動費条例で閲覧制度が設けられている。よって開示請求の対象ではない>(趣旨)

 たしかに、先に触れたとおり、情報公開請求をしなくても議会事務局に行けばすぐに領収書を見ることはできる。しかし、そこにある領収書は黒塗りがされたものだ。その黒塗りに異議を申し立てる手段は情報公開請求しかないが、まるで文句を言うなと言わんばかりに都議会議長は却下した。

 そこで筆者は、ほかの道府県に同様の情報公開請求をしてみた。結果、すべて請求は受理された。東京都のように人件費の金額や宛名を黒塗りした例がいくつもあったが、不服審査や裁判でその不当性を訴えることが可能であることが確認できた。つまり政務活動費の領収書の情報公開請求を却下したのは日本中で東京都だけだった。東京都というのは、じつは情報公開制度の基本中の基本を理解していないのではないか。そんな疑いが出てきた。

東京都、却下は正しいとして徹底抗戦

 見過ごせない問題だと考えた筆者は、今年1月、「却下は違法である」と裁判を東京地裁に起こした。すぐに「却下」の間違いに気づいて訂正するかと思った。ところが、被告の都は代理人弁護士を頼んで徹底抗戦してきた。却下は正しいというのだ。

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