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オリンパス、贈賄揉み消し疑惑浮上…中国マフィア系と関係、内部告発者に報復人事か【2】

文=山口義正/ジャーナリスト
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左遷人事による報復

 パンドラの箱を開けるようなOCAPマネジャーの動きと3通の意見書に、オリンパス本社は慌てた。昨年11月30日付けでオリンパスの本社人事部長がOCAPマネジャーに対して、指導書を突きつけた。独断で法律事務所に意見書を作成させたとして責め、意見書作成の手続きや費用支出の根拠を示せという内容である。加えて年明けから別の部署への異動を命じた。もちろん内示の段階から、あくまでも「OT(オリンパスの東京本社)の人事ローテーションに伴うもの」との体裁で異動は進められた。報復人事ではないことを強調しておきたかったのだろう。

 しかし、ローテーションに伴う通常の異動という割に、1月1日付けという不自然な時期に行われた。会社の意向に逆らう社員には左遷人事による報復を加えるのは、オリンパスの悪しきお家芸である。

 しかし、この人事異動に対して、予想外の反発があった。オリンパスでは東京本社だけでなく、海外子会社にも法務部が置かれており、反発したのは東京本社の法務部に所属する社員である。「これは報復人事であり、法的に問題がある」として、人事部とコンプライアンス部に抗議したのだ。この法務部員は大手法律事務所からの転職組で、弁護士資格を持っている。

 この社員弁護士はOCAPマネジャーの異動が内示されるとすぐに、国内外のオリンパス幹部数十人に対し、異動の非を鳴らす内容のメールを送信した。宛先には笹宏行社長も含まれている。

 この社員弁護士は攻めが速い。さらに社外取締役に宛て、弁護士印を押した通知書を作成すると、メールに添付して送信した。そこには深セン問題の概要と経緯、OCAPマネジャーが法律事務所に作成させた報告書の内容、オリンパスの対応が拙劣でFCPA違反の疑いが濃厚であることなどが、わかりやすくまとめられている。社内弁護士が発信したメールは、詰め将棋の棋譜のように整然としていて、オリンパスの逃げ道を断つ周到さも備えていた。このメールで社外取締役も事態の深刻さをのみ込んでくれるはずだった。

 ところがそれから2週間ほど経った頃、「FACTA」編集部に匿名で連絡が届いた。

「彼(社員弁護士)のメールが使えなくなったようです。お恥ずかしい話ですが、お力をお貸しいただければ幸いです」

(文=山口義正/ジャーナリスト)

●山口義正
ジャーナリスト。日本公社債研究所(現格付投資情報センター)アナリスト、日本経済新聞記者などを経てフリージャーナリスト。オリンパスの損失隠しをスクープし、12年に雑誌ジャーナリズム大賞受賞。著書に『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』(講談社)

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