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『コンフィデンスマン』最終回直前で視聴率爆増!欠点ゼロで完璧、ドラマ史に残る屈指の傑作

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 長澤まさみ主演の連続テレビドラマ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)の第9話が4日に放送され、平均視聴率が自己最高の9.5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。前回からは1.2ポイントのアップで、最終回に向けて注目度が高まっている様子だ。

 本作は、長澤演じるダー子、東出昌大演じるボクちゃん、小日向文世演じるリチャードの3人が信用詐欺師(コンフィデンスマン)となり、欲望にまみれた人間から大金をだまし取る1話完結ドラマだ。

 第9話は、若きIT社長・桂公彦(小池徹平)がターゲットとなった。彼はカネに物を言わせて次々とプロスポーツチームを買収しては横暴な現場介入を行い、チームを崩壊させて放り出すことを繰り返していた。

 ダー子たちは、次に桂が飛びつくのはプロ化目前の卓球だと考え、強豪チームの関係者に成りすまして買収話を持ち掛けるが、なぜか桂は興味を示さない。あらためてリサーチした結果、桂はプロバスケットボールに興味を持っていることがわかる。そこでダー子は長いブランクのある元日本代表候補をはじめとして、街で見かけた外国人や半グレたちを集め、架空のバスケチーム「チーターズ」をつくる。これに釣られた桂はさっそく2.5億円を出資するが、素人同然のチーターズは惨敗を繰り返す。だが、桂はなぜかいつも上機嫌で、選手たちをほめちぎる。何かがおかしいと考えたダー子は、桂の真意に気付く――という展開だった。

 道楽を利用して金持ちの社長からカネを巻き上げようとする構図は、佐野史郎がゲストとなった第4話「映画マニア編」と同じだ。ただ、第4話は佐野演じる食品会社の社長が映画マニアである必然性がなく、映画を題材にした回を1話撮りたかっただけという意図が見えすぎて、あまり好きになれなかった。このため、今回の「スポーツ編」もどうなるだろうかと不安だったが、きれいにまとまった良作に仕上がっていた。

本シリーズ屈指の傑作回!

 桂が望んでいるのは弱小チームであることなのに、ボロ負けを繰り返していた選手たちに何かのスイッチが入り、ダー子の意図とは裏腹に真剣にバスケに向き合っていく様子は皮肉ながらも人間の本質を突いていておもしろい。

 当然のことながら桂は怒り、選手のほとんどをクビにして無名の選手たちを加入させるようにダー子に指示を出す。ここで指示に従わなければ、桂が約束した3年分の運営費7.5億円は手に入らない。

 ところが、すっかりチーターズの選手になりきったボクちゃんは「ただ勝ちたいだけだ!」とダー子に反発する。ボクちゃんはいつも情に流されるからそう言いだすのもわかるが、いつも冷静なはずのリチャードまで「こいつらを勝たせてやりたい」と言い始める。1円にもならない「勝利」のために大金を捨てるのは、はた目から見るとバカげているような気がするが、実際に彼らと同じ立場になったらそう思うのかもしれない。

 BGMも演出も完全に“スポ根ドラマ”と化し、詐欺が成功するのかどうかも気になるが、同時にチーターズが果たして勝てるのかどうかも気になってしまう。素人同然の選手たちが必死に練習を重ね、死力を尽くして勝利を目指す姿にすっかり乗せられてしまった。

 主演の長澤は今回、“地元観光協会から転職してチーターズの球団社長となった一般女性”という、ごく普通の役柄で登場した。これまでの回で見せた素っ頓狂な演技も楽しかったが、今回は詐欺師としての筋読みに徹した冷静な演技でハチャメチャになりがちなスポ根ドラマを締めた。

 バスケへの情熱に目覚めて、桂の指示を無視するようになった選手たちのせいですべてがパーになるかと思いきや、ダー子が先手を打っていたというオチも秀逸。彼女が桂の目を見据えて、ほほ笑みながら「3年契約をするか、この2.5億を持ち帰って恨み続けるか、お好きにどうぞ」と静かに啖呵を切るシーンは、このドラマのなかでも屈指の名シーンといえそうだ。

 第9話の本編放送後の予告では、最終回(第10話)のゲストが佐藤隆太であることと、映画化が決定したことが明かされた。映画化は力が入りすぎてすべりそうな気がするし、佐藤も最終回のゲストとしては“ショボい”感じもするが、視聴者をうならせる良作になることを期待したい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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