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トヨタ、会社全体の発想を転換…他社からアイディアや技術の「吸収」を開始

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 それに加え、世界の自動車業界全体が、構造変化に直面している。世界規模でEVの開発が加速している。トヨタは燃料電池車の実用化には成功したが、バッテリーを搭載するEVの開発は遅れている。

 世界最大の自動車市場である中国では、トヨタが得意とするHV(ハイブリッド車)が次世代のエコカーとして認められなくなる可能性もある。また、EV化が進むと自動車に使われる部品の点数が50%程度少なくて済むとみられる。完成車に必要な部品の数が減少すれば、すり合わせ技術を強みとしてきたわが国の自動車メーカーの競争力は低下するはずだ。米国市場の減速、EV化による構造変化という2つの変化が進むなか、トヨタには環境への適応力が求められる。

トヨタが重視するオープンイノベーション

 変化に対応するためにトヨタが重視するのが、オープンにイノベーションを進めることだ。従来、企業は自社内で研究開発を進め、新しいテクノロジーやプロダクト、サービスなどを創造しようとしてきた。それは、他企業との差別化、競争上の優位性を確保するために重要と考えられてきた。この発想は、自前主義というにふさわしい。

 一方、環境変化のスピードは加速している。新興国の経済成長によって、先進国企業に優位性があるともいいづらい。2017年の国際特許出願件数を企業レベルでみると、トップ2社は中国企業だ。新しいプロダクトを生み出しても、他企業が類似の商品を開発し、機能面での差別化は難しくなっている。そのため、価格競争が進みやすい。自前で新しい技術やコンセプトを実現することは重要だが、それに固執することが競争上の優位性確保につながるとは限らない。その発想だけで環境変化に適応するのは難しいだろう。

 トヨタは異業種企業との協働によって、あたらしいクルマのコンセプト(電動化、ネットワークと接続しデータを収集・発信するクルマ)を確立しようとしている。シェアリングエコノミーなど、新しい経済行動への適応のためにも、従来のビジネスセグメントを超えた連携が求められる。ヒット商品を生み出し需要を取り込むために必要と考えられる発想やテクノロジーが自社内にあればよい。それがない場合、自前で生み出すか、すでにある社外の要素を取り込むか、選択が必要だ。現実的に考えれば、すでにある物を取り込んだ方が合理的だろう。

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