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三浦展「繁華街の昔を歩く」

平成育ちの女性たちが昭和の喫茶に惹かれる理由

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難波里奈さん

 昭和を懐かしむ風潮は、意外に歴史が長い。戦前はともかく、戦後を懐かしむ風潮も1980年代には存在した。その中心人物のひとりが芸術家の沼田元氣だろう。彼は当時、恵比寿あたりの古い長屋に住み、不思議な活動をしていた。

 平成に入り、さらに2000年代になると、沼田は多数の本を出版した。多くが喫茶店の本であり、さらに喫茶店を求めて地方都市などに出かける本であり、出かけた先で買うおみやげの本である。いずれも少女趣味で、装丁が驚くほど丁寧で美しくかわいい。

 こういう沼田ワールドに見せられたファンは多い。私もそのひとりなのだが、まあ、私の場合はコアなファンというほどではない。やはり2000年頃に10代から20代だった女性にファンが多いのではないか。



 難波里奈さんもそうだ。大学生になった頃から突如昭和の物に関心が高まり、ちゃぶ台などの家具、脚が4本あるテレビ、食器、雑貨、照明器具、もちろん昭和の時代に流通していた古着たちを集めまくったという。自分の部屋以外にも物があふれ出すと、さすがに親からいい加減にしてくれと言われる。

 そんなとき、昭和時代の喫茶店に気づく。もともとコーヒー好きで喫茶店にはよく行ったが、そうか、喫茶店に入れば、自分で物を集めなくても、昭和に囲まれて幸せな気分に浸れる、と考えた。だから喫茶店のなかでも特に「昭和30.40年の頃から改装などをしていない店が好き」だという。

『純喫茶、あの味』(難波里奈/イースト・プレス) 
 こうして喫茶店めぐりが始まった。平日はほぼ毎日1軒。本業は普通の会社員なので仕事帰りにも必ず1軒は行く。休日は2~3軒、旅先では5~6軒。旅先の最高訪問数は1日で13軒回ったことも! 

「電車の路線図を塗りつぶしながら、まだ降りたことのない駅周辺を散策し、喫茶店を探します。もう営業していないかなと思っても、一応扉を開けてみます。そして気に入った店には何度も通いますから、店主の方とも仲良くなりますね」と難波さんは言う。

 そうして巡ってきた全国の喫茶店の記録をひたすらにブログに書き溜め、それが出版社の人の目に留まり、2012年に出版することになり、人気となった。装丁は沼田元氣。今も喫茶店関連の本だけで3冊を書いているという売れっ子だ。

 昔ながらの喫茶店は、気を張らずにふらりと訪れることができるところが好きだ。「程良く放っておいてくれるし、値段もお手頃ですし」。マッチ箱も集めていて、現在数百個所有している。使用しないが眺めているのが楽しいという。

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