ビジネスジャーナル > ライフニュース > 昭和の喫茶に惹かれる平成育ちの女性  > 2ページ目
NEW
三浦展「繁華街の昔を歩く」

平成育ちの女性たちが昭和の喫茶に惹かれる理由

文=三浦展/カルチャースタディーズ研究所代表
【この記事のキーワード】, , ,

平成育ちの女性たちが昭和の喫茶に惹かれる理由の画像4

昭和の喫茶店の魅力

 でも、昭和という時代や、昭和の喫茶店の何がそんなに魅力なのか。

「昭和のなかでも、高度成長期の日本に関心があって、イメージではありますが、どんな人にも平等にチャンスがあって、がんばればきちんと報われたような夢のある時代。今よりいろいろなことが不便で大変なこともたくさんあったのだとは思いますが……。大阪万博の頃など、未来への憧れがはっきりしていた時代を体験してみたかったです」
 
 当時はなんでもピカピカの新品がどんどん発売され、レトロなんてなかった時代だが「その当時のことや、喫茶店が大繁盛していた時代を想像するのが好きで、想い出を美化しているのかもしれませんが、やっぱり、その時代に行ってみたい」と言う。

平成育ちの女性たちが昭和の喫茶に惹かれる理由の画像5

 一方で「かつて盛況だった喫茶店が少しさびれてしまって、はかなくなっている感じがまた好きで。だから、あまり人が多くないところ、かつて栄えてその役目を終えてひっそりと廃墟のようになった観光地や遊園地、ビルなども好き。ぴかぴかした新品より、なんでも少し時間を感じられるもの。昭和歌謡、さびれた商店街や市場、遊郭跡、廃墟も好き」だと言う。

 世の中がどんどんデジタル化して、ストレスが増えて、それで昭和の喫茶店でほっとしたくなるのか。

「デジタルやITはもっと進んでもいいと思っているんです。それで暮らしやすくなるなら、どんどん便利にしてもらって。それこそ「どこでもドア」で家から一瞬で地方の喫茶店に行けるならいいですよね(笑)。そうやって空いた時間をゆっくり喫茶店で過ごすとか、ほかのことに使えるなら良いですよね」

 一種の時間消費なのだろう。忙しい現実を生きていながらも、わずか数十分間、時間が止まったような空間で過ごす。かつての全盛期を越えたゆえの落ち着きを備えた家具や雑貨、そしてベテランの店主たちに癒される。それが昭和喫茶の魅力らしい。
(文=三浦展/カルチャースタディーズ研究所代表)

平成育ちの女性たちが昭和の喫茶に惹かれる理由の画像6

三浦展/カルチャースタディーズ研究所代表

三浦展/カルチャースタディーズ研究所代表

82年 一橋大学社会学部卒業。(株)パルコ入社。マーケティング情報誌『アクロス』編集室勤務。
86年 同誌編集長。
90年 三菱総合研究所入社。
99年 「カルチャースタディーズ研究所」設立。
消費社会、家族、若者、階層、都市などの研究を踏まえ、新しい時代を予測し、社会デザインを提案している。
著書に、80万部のベストセラー『下流社会』のほか、主著として『第四の消費』『家族と幸福の戦後史』『ファスト風土化する日本』がある。
その他、近著として『データでわかる2030年の日本』『日本人はこれから何を買うのか?』『東京は郊外から消えていく!』『富裕層の財布』『日本の地価が3分の1になる!』『東京郊外の生存競争が始まった』『中高年シングルが日本を動かす』など多数。
カルチャースタディーズ研究所

平成育ちの女性たちが昭和の喫茶に惹かれる理由のページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!