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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

トランス脂肪酸、WHOが排除の方針発表…農水省は規制せず放置、幅広い食品で使用

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

 このような文章には、あきれてものが言えません。本質をわかっていないのか、わかっていてあえてわかっていないふりをしているのか、定かではありませんが、いかにも無責任な体質が明確に表に出ています。

「行政機関が規制措置を実施している国や地域は一部に限られているし、どっちにしてもトランス脂肪酸を完全に排除しているわけではないし、一定量以下ならトランス脂肪酸が食べ物に入っていても大丈夫と、諸外国は言っている」というのが要旨ですが、本当にそうでしょうか。日本人は、欧米諸国の人たちに比べて、トランス脂肪酸の摂取量は少ない、と言いますが、その計測の方法は統一されているのでしょうか、という疑問を筆者は投げかけています。

「隠れトランス脂肪酸」が多量にある

「日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、朝、パンにマーガリンを塗る程度でしかない」などと言う人もいますが、菓子類やインスタント食品を含めたあらゆる加工食品、ファストフード、市販されている揚げもの、外食など、実際は「私たちの周りはトランス脂肪酸だらけ」と言っても過言ではないほどです。

 それが日本人の健康を害していることは明々白々です。それにもかかわらず、「大した問題ではない」と思わせることを目的としたインターネット上の記事や意見も目につきます。

 筆者が問題視しているのは、マーガリンやショートニング、市販されているサラダ油などの、トランス脂肪酸を大量に含む油を直接摂取するのとは別に、トランス脂肪酸を原材料としてつくられる加工食品を食べることの危険性です。

 子供たちは、自分たちが食べているスナック菓子に大量のトランス脂肪酸が含まれていることを知りません。若者たちは、ランチで食べたカップラーメンや菓子パンなどに大量のトランス脂肪酸が入っていることを知りません。お父さんは、居酒屋で食べたサラダに使われているマヨネーズやドレッシングが大量のトランス脂肪酸の塊のようなものだということを知りません。

 そのような見えないトランス脂肪酸、いわば「隠れトランス脂肪酸」は、現代の食事の中で、見つけようと思えば簡単に見つかります。むしろ、そのような加工食品に含まれている隠れトランス脂肪酸のほうが問題は大きいともいえます。隠れトランス脂肪酸の摂取量を加えたら、「日本人のトランス脂肪酸の摂取量は決して少なくない」という結論になるかもしれません。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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