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鈴木貴博「経済を読む目玉」

AI失業時代突入…10年後に国民の4割が年収120万円に、リアルに今すべきこと

文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役
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 AI失業時代には仕事全体の2割が消滅する。そうなると2割の人が失業して、8割の人が生き残るのかというと、そんなことは起きない。2割の失業者といえば1929年に起きた大恐慌と同じレベルである。生活が成り立たない人がそんな規模で発生したら社会が成立しない。

 そこで起きることはワークシェアだ。フルタイムで働ける人は幸せで、国民の多くがパートタイム労働者になる。しかも普通の人は週20時間しか働くことができない。それくらいしか仕事がなくなるのだ。

 そして社会全体で仕事の量が減ってしまうと、人件費の相場が全体的に下がる。よほどほかに代わりがないオンリーワンの仕事なら別だが、他にやれる人がいる仕事の人件費相場は、働きたい人の数が増えるおかげで全体的に大きく下がる。

 2000年代に入った頃、経済評論家の森永卓郎さんが「年収300万円時代」と言い始めたのを覚えている人も多いだろう。当時はサラリーマンの年収は600万円が普通だった頃に、「これからは年収が半減する時代を生き抜く覚悟が必要だ」という意味で森永さんがそういう意見を提唱した。

 ところが2018年になってみると、年収300万円はいわゆる所得階層の下流クラスでは「下流の上」の目標になってしまった。今では下流のボリュームゾーンは年収180万円時代というのが実情に近い。それがAI失業時代にはさらにワンランク下がることを覚悟する必要がある。

 つまり、ワークシェアで仕事を得るのが国民の4割、この層が年収120万円時代に入る。そして6割のフルタイムで働ける国民がたとえ正社員だとしても、平均年収は300万円。管理職でも400万円という時代になってしまう。

 われわれはそのような時代にどのように備えればいいのか?

今一番行うべきことは節約

 実は今やれる、非常に重要なことがある。それは今のうちに金融資本を拡張しておくことだ。

 お金を稼ぐ方法には主に2つの方法がある。人的資本と金融資本だ。人的資本とは文字通り人が働いて稼ぐこと。体が資本というのは、まさにこの言葉を体現したものだ。

 一方で金融資本は金が金を稼ぐこと。会社に出資して配当を得ることや、他人にお金を貸して金利を得ることをイメージするとわかりやすい。最近ではわずかな稼ぎしか得られないが、銀行に預けて金利を得るのも金融資本の働かせ方だ。

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

事業戦略コンサルタント。百年コンサルティング代表取締役。1986年、ボストンコンサルティンググループ入社。持ち前の分析力と洞察力を武器に、企業間の複雑な競争原理を解明する専門家として13年にわたり活躍。伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)の起業に参画後、03年に独立し、百年コンサルティングを創業。以来、最も創造的でかつ「がつん!」とインパクトのある事業戦略作りができるアドバイザーとして大企業からの注文が途絶えたことがない。主な著書に『日本経済復活の書』『日本経済予言の書』(PHP研究所)、『戦略思考トレーニング』シリーズ(日本経済新聞出版社)、『仕事消滅』(講談社)などがある。
百年コンサルティング 代表 鈴木貴博公式ページ

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