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ゆうちょ銀行、今目指す方向性は危険だ…コストカットせず、高リスク投資に傾斜

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ゆうちょ銀行本社が所在する日本郵政ビル(「Wikipedia」より/Ons)

 近年、ゆうちょ銀行は資金運用の高度化と多様化のため、外資系金融機関などから専門家を多く採用してきた。それに伴い、外貨建ての有価証券などのリスクの高い、いわゆるリスク性資産の保有を積極的に増やしている。

 これまで、多くの金融機関は株式や債券のディーリングやポートフォリオの運用、流動性の低い未公開株などへの投資から利得を獲得し、業績を拡大させることを目指してきた。しかし、その結果はあまり芳しいものではなかった。 2000年代前半、米住宅バブルの最盛期、国内外の多くの大手金融機関が収益拡大をめざし、リスク性資産への投資を増やした。住宅バブルがはじけ、株価や低格付けの債券価格が急落するとともに、金融機関の経営は悪化した。2008年9月15日、米大手投資銀行だったリーマン・ブラザーズの経営破たんは、その象徴だった。

 景気が回復を続け、資産の価格が右肩上がりで推移する間は、ディーリングで収益を確保することが可能になる。しかし、その状況は永久には続かない。

 金融機関の経営は社会に大きな影響を与える。ゆうちょ銀行が経営の安定性を高めるためには、リスク性資産への投資だけでは不十分だ。フィンテック分野を強化するなどして、収益源を分散できるか否かが、今後の経営を左右するだろう。

コストカットが難しい、ゆうちょ銀行


 他の大手行に比べ、ゆうちょ銀行の経営戦略は特異に映る。なぜなら、ゆうちょ銀行はコストカットよりも運用収益の増大を重視しているからだ。その背景には、流入する郵便貯金に利息をつけ、その上で収益を確保するのが難しいことがある。これは、ゆうちょ銀行が抱える構造的な問題だ。

 まず、ゆうちょ銀行にとって、コストの削減は容易ではない。郵便局のネットワークを維持していくことは、政治家にとっての集票基盤を維持することにつながる。そのため、大手行と異なり、人員の削減などを通したコストのカットは難しい。

 金融機関にとって、資金を預かるにもコストがかかる。特に、ゆうちょ銀行の通常貯金などには、合計1300万円の預け入れ上限額が設定されている。これを超える額は、振替口座に振り込まれる。その通知や事務の負担を軽減するために、日本郵政の長門正貢社長が限度額の撤廃を求めたわけだ。

 大手行はコストカットのために地方の支店の統廃合などを進めている。同時に、人員も削減しようとしている。一方、日本郵政グループの直営郵便局の数は2万を超える。その結果、高齢者を中心に、近くに店舗がある郵便貯金のほうが便利で安心だという認識が増えてもおかしくはないだろう。実際にそういう考えを持つ人が増えれば、支店の統廃合が進む大手行などから、近くの郵便局に資金の預け先を変える人が増える可能性がある。その可能性を加味すると、貯金の上限撤廃は一時的な対処療法にすぎないと考えられる。

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